2020.06.20

【研究計画】学習者の学習対象の決定を支援する学習環境システムの開発と評価 (M1 猿田尚輝)

こんにちは。山内研M1の猿田尚輝と申します。
3月に筑波大学の情報学群というところを卒業して、今年度から山内研に所属しています。
学部時代は情報技術を学んでいましたが、自分自身の学習や当時の塾講師のアルバイトでの経験から個人の学習や興味を持つようになり、修士からはフィールドを移して山内研究室でお世話になっています。

修士での研究では、個人が学習していく中で、新しく学びたいと思えるような対象の発見を支援できるようなシステムの開発と評価を行いたいと考えています。

このような研究テーマを設定するに至ったきっかけとして、大きく2つあります。
一つは、自分自身の学習の経験によるものです。総合大学に入学した後、最初のうちは初年度の教養科目で専門に限らず各分野の入門的な授業をいくつか受講していました。学年が上がってもその延長で学習を続け、自分の専門の講義以外にも他の学部の授業をいくつか受講していきました。
当時は何か一つのことを学ぶと、新たな学びたいことがまた見つかって、世界が大きく広がっていくような感覚にワクワクしていました。
(さらに振り返ってみれば、このように色んな分野の学問を大学で学びたいと思っていたのは、浪人していた頃に通っていた予備校の先生方からの影響があったからかもしれません。そこでの授業は、どの教科の先生方も予備校としての本分である受験対策を行いながらも、それぞれの教科の大学での学びへのモチベーションを高めてくれるようなものでした。)
このような学習ができたのは色んな学部が一つのキャンパスに集まっている総合大学で、簡単に他の学部の授業でも受けに行けるような環境が大きかったのかもしれません。

2つ目のきっかけは、教える側の立場に立ってみると学習者が学びたいことが自分自身でわからないという状態にあるときにその発見を支援してあげることに難しさを感じたことです。
学部時代にアルバイトとして務めていた個別指導の塾では、高校3年生の生徒を受けもっていたのですが、その子は大学でどの分野に進めばいいかわからない、と進路選択に悩みを抱えていました。
そのような悩みを打ち明けられて話を聞いてみるも、高校時代理系だった私に対してその生徒は文系だったということもあって、全くどのようにアドバイスをしていいのかわかりませんでした。また、仮にその生徒が理系あったとしても志望が情報系などでなければ建設的な助言はできなかったと思います。
このように何を学びたいのかという問題に関しては、関心の近い分野について詳しい人に聞くなどでない限り、助言する側には広範な知識があることが求められることと思います。
さらにその現場が個別指導の塾ではなくて例えば高校のクラス担任のように一人の教師が複数の生徒の相談に乗る必要があるとき、全ての生徒に対して適切に助言することができるでしょうか。

何を学びたいのかということの決定においては、自分自身の興味はなんなのかという問題と向き合うことが求められます。その部分をシステムを用いて支援することができないか、というのが本研究の問題意識です。学部時代に学んだことを武器として生かしてシステムの開発を行い、それを評価するということを修士の2年間で行っていきたいと考えています。

現在は、既存研究のレビューをしながら上述したような学習の仕方はどのようにすれば支援できるか、という調査を進めています。

【猿田尚輝】

PAGE TOP