2020.05.20
こんにちは。この4月に入学いたしました、M1の岩澤直美と申します。私は「児童の異文化間能力を高める教育プログラムの開発」に関する研究を行いたいと考えています。
私自身は日本語とチェコのハーフとして生まれ、日本、ハンガリー、ドイツで育ちました。様々な地域の人々や国際学校でのクラスメイトとの出会いの中で、異文化間の交流が円滑に行われるケースと、そうではないケースを目の当たりにし、「円滑でリスペクトのある異文化間交流はどのようにして実現できるのか」に興味を持つようになりました。
学部の卒論では「児童の異文化感受性レベル ―6枚の写真を使ったインタビュー調査― 」という題で、小学生に対してセミフォーマル・インタビューによる調査を行いました。異文化感受性とは「異文化や、様々な背景を考慮する必要のある状況の捉え方」(Bennett, 1986)で、グローバル化・多様化する社会において重要な要素の1つである言われています。調査の結果は、8割以上の児童は異文化感受性レベルが低く、自文化中心主義であるというものでした。
異文化間の関係性構築を円滑なものにするため、そして偏見や差別を逓減するためには、異文化感受性をはじめとする異文化間能力が必要です。PISAでも「グローバル・コンピテンシー」として調査がされるようになりました。
異文化間能力には様々な要素が必要だと言われていますが、大きく分けて、①態度 ②知識と理解 ③スキル ④価値観、が挙げられます。(OECD, 2016)
修士課程ではこれらの能力がどのように育成できるのかを検討するため、教育プログラムの開発研究を行いたいと考えています。ゼミではおよそ5週間に1回、研究計画について発表を行います。初回発表では、異文化間教育学会においてどのような研究がされてきたのか、異文化間研究とは何か、という枠組みに関してまとめました。これからどのような対象、能力、状況に絞っていくのかを決め、調査を進めていく予定です。そして、「最終的に学習者がどのような状態になっていることが理想なのか」を明確にし、具体的な介入方法を検討していきたいと思います。
M1 岩澤直美