2019.02.10
D3の池田です。私の研究テーマは、「大学での正課外活動におけるキャリアレジリエンスの獲得に関する調査」です。
ひらたく言うと、「環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力」であるキャリアレジリエンスを部活やサークルといった、課外活動の中で学生はいかにして身につけているのかといった研究をしています。
「キャリアが思うようにいかない」だとか「うまくいかないことばかりで仕事が辛い」といった声をよく耳にしますが、人生の岐路とも言える「キャリア選択」や、日々の生活において長い時間を占める「仕事」やにおいて、こうした感情を抱き続けるのは辛いことだと思います。また、昨今は大学から社会へと移行する前に、辛くても前を向き回復する力を獲得することの重要性が指摘されます。
そこで、「環境の変化に適応し、ネガティブな仕事状況に対処する個人の能力」や「キャリア形成を脅かすリスクに直面した時、それに対処してキャリア形成を促す働きをする心理特性(児玉2015)」と定義されるキャリアレジリエンスという概念に注目をしました。
キャリアレジリエンスの具体的な要素については諸説ありますが、例えば児玉(2017)は以下の5つを構成要素としてあげています。
(1)問題対応力:環境の変化に適応できる力や困ったときふさぎ込まないで次の手を考える力
(2)ソーシャルスキル:社交性、他の人と共感的に関わりあう力
(3)新規多様性:新しいことや珍しいことが好きな姿勢、いろいろなことにチャレンジするのを好む
(4)未来志向:自分の将来に希望を持てる
(5)援助志向:思いやりを持って他人に接する
レジリエンスには、遺伝による影響が強いもの(特性)と、獲得しやすいもの(能力)があります(平野2010、2015)。そのため、課外活動を通じて、自分のもともと持った特性に気づいたのか、獲得されたのかと言う部分については議論の余地がありますが、例えば、「想定外の出来事に対処する経験」や「克服するのが難しいと感じていた課題をクリアすることを通じて、学生は先の問題対応力を身につけていることが確認されています(IKEDA et al. 2018)。
博士課程では、先に紹介した研究のほかにも、教員が関わるような課外活動において、教員がどのような支援をすることが学生のキャリアレジリエンスの獲得実感につながるのかに関する検討なども行ってきました。段々と研究が形になってきたので、これらの研究を博士論文にまとめることが今後の課題となるかと思います。少しでも誰かの役に立つ研究をできるよう頑張っていきたいな..と思います。
池田