2018.11.05

【今年度の研究計画】文字式の数量表現を支援するゲーム教材の開発と評価 -プロセプト的思考に着目して-

こんにちは!本実践真っ最中の修士2年、花嶋陽です。
自分の研究テーマは、「文字式の数量表現ができない子をどのようにできるようにするか」です。
文字式の数量表現というのは例えば下記のようなものです。
 
① ある数nの3倍より5小さい数はいくつか?(誤答率:22.6%)
② 赤色のテープの長さは 2b cmで、青色のテープは赤色のテープ より 3 cm長い。青色のテープの長さは何cmか?(誤答率:28.9%)
 
実際に、今年の6月に中学3年生350名程に行なった文字式のつまづき調査テストでは、2~3割程度が上記のような基礎的な文字式による数量表現問題ができないことが明らかになりました。(上の誤答率はその時のもの)
実際にどのような間違いが多いかというと、例えば①では、答えを3n-5としなければならないところを、-2nや2nとしてしまっていたり、②では2b+3としなければならないところを5bや5などとしてしまうものが、誤答のうち3~5割ほどになっています。また、そもそも無答の比率も高くなっています。
ここからわかるのは、「文字式を『一つの数』と見ることができない(計算の式としてしか見れない)」ということです。
つまり、「答えに+が残っていると計算の途中だと思う」や「『いくつか?』と数を聞かれた時に、文字式を答えられない」などといったことは、このことを要因としています。
 
これは、先行研究の中でも本質的な要因として指摘されており、”Process-Product dilemma”や”Process-Object duality”と呼ばれていて、
数学的概念には、手続き的な見方と、対象物としての見方の二面性があり、その両方を柔軟に切り替えてみれるようになる事が重要と言われています。
この対象物としての見方が、文字式でいうと、「一つの数」としてみるという事で、本研究ではこれを達成する支援をすることによって、文字式の数量表現をできるようにしようと考えています。
 
その「手続き的な見方と、対象物としての見方の二面性があり、その両方を柔軟に切り替えてみれるようになる」に至る発達段階を示したのが、D.Tallのプロセプト理論で、彼は、手続き的な見方から、異なる手続きの同値性を認識する事で、対象物としての見方を獲得し、両者を柔軟に切り替えて見える事ができるようになる事を述べています。
 
今回は、このプロセプト理論に依拠し、その発達段階に応じた支援をゲームに埋め込んでいます。
ゲームの具体的な内容は、以下のリンクから確認して頂ければと思います。
https://drive.google.com/file/d/1qh-eh_LcJTa8sbfaq8KKjuAVq9e8DJYD/view?usp=sharing
 
ゲームは以下のリンクからダウンロードできるので、みていただけたら幸いです。(iosのみ対応です)
https://testflight.apple.com/join/RokdrwM0
 
現在、本研究の実践にご協力いただける先生を探しています!もし、ご興味がありましたら、yohanashima@gmail.comまでご連絡頂ければと思います!
 
【修士2年 花嶋陽】

PAGE TOP