2018.04.26

【今年度の研究計画】文字式におけるプロセプト的思考を支援するゲーム教材の開発と評価

こんにちは!3年目だけど1度目の修士2年、花嶋陽です。

自分の研究テーマは、「数学が不得意な生徒への学習支援」で、修士研究では「文字式」を対象としています。
xとかyとかその辺のやつです。
これは、中学以降の数学においてずっと必要となりますし、使えるようになればとっても便利なんですが、
どうしてもここでつまずいてしまう生徒が多いと言われています。
なので、自分の研究では中学1年生の最初に習う、最も基本的な文字式の学習(1次式の計算や表現など)における支援を行いたいと思っています。

具体的には、数学学習において重要とされているプロセプト的思考の獲得を支援するようなゲーム教材の開発を考えています。
プロセプト的思考とは、D.Tallにより提唱されているもので、数学的記号を計算過程(プロセス)としても、その結果としての概念(コンセプト)及び対象物としても柔軟に切り替えてみれること(プロセプト(=プロセス+コンセプト)的思考)です。
具体的に文字式において見てみると、例えば
3x+2は、
・「3とxをかけて、2を足す」という計算過程
・その計算をした結果としての「一つの数」
という二つの見方ができます。
そして、文字式においてつまずきが見られる生徒は、3x+2を計算過程としてしか見れないがゆえに困難が生じているということが言われています。
例えば、
・8x+4­-6x+1 = 2x+5 = 7x
このような誤答が起こるのですが、これは2x+5を「それ自体一つの数として見れず、まだ計算の途中としてしか見れないため、無理やり2x+5を『計算』してしまい、7xとする」というような生徒の認識的なつまずきが隠れています。
他にも、以下のような問題において、解答できない生徒は、そもそもa+2本やa-2本を「数」として見れないため、(a+2)+(a-2)のような立式自体ができないという困難性があります。
Screen Shot 2018-04-26 at 18.50.07.png

このような困難性に対して、文字式を計算過程としてだけでなく、「一つの数」として2とか3のような具体的な数と同様に扱えるようにすることが、本研究の支援目標となります。
そして、その支援方法として、視覚的なフィードバックや真正性の高い試行錯誤が行えるゲームという形態を選び、その開発と評価を行うことが私の研究計画となります。

数学でつまずいてしまう生徒や、そういった生徒にどうアプローチすればいいか模索していらっしゃる先生方への一助となれば幸いです。

【修士2年 花嶋陽】

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