2017.03.06
みなさん,こんにちは.
M2の原田悠我です.
先日は,信州大学で開催された日本教育工学会の研究会に参加しました.「プログラミング学習におけるTinkeringの支援-自己説明を通じた仕組みの理解を促すシステムの試作-」というタイトルで発表およびセッションの座長をおこないました.発表を聞きに来てくださった皆様,ありがとうございました.
今回のブログのテーマは「山内研 今年度のまとめ」です.結果からいうと,修士研究を終えることができませんでした.なので,現在は来年度の修了を目指し,失敗の分析や新しい研究計画のデザインを行っています.今年度の研究成果や実験の分析は研究会の原稿にまとめました.一方で,修士2年間の研究プロセスの分析は現在行っている途中です.どこかで発表や公開するわけではないですが,「どこに苦しみ,どこに時間がかかり,2年間で修士研究が終わらなかったのか」について,個人的に反省しつつまとめています
今回の記事では,その一部である「リアルな問題の把握」に関してご紹介したいと思います.問題を解決するためには,その前に現場で起こっている問題をしっかりと掴む(把握する)必要があります.このフェーズは,ちょうど2016年の2月頃から9月頃まで実施していました.逆に言うと,ここのフェーズに時間がかかり,後ろの提案手法(システム)のデザインや実験に影響が出てしまいました.現場を見ても,言葉にしても,あまり上手くつかめずにいました.
なぜリアルな問題を上手く把握できなかったのか.原因は大きく2つに分けられると思います.1つ目は「調査環境の整備」です.リアルな問題を把握するためには,まず何よりも実際に見て調査する必要があります.授業を見学させていただくこともありましたが,当然のことながら対象にしたい年代や内容の授業が常に行われているわけではありません.そのため,調査する環境を自ら実験という形で整備する必要がありました.交友関係が広いとはいえない私にとって被験者を募集することは大変でしたし,授業やワークショップを実施した経験の少ない私とって調査の運営は失敗ばかりでした.このように,単純に調査すべき環境を整備するだけでも,かなりの時間がかかってしまいました.
2つ目は「問題の分析」です.調査をおこない,開発の様子やインタビューを記録しても,すぐに問題や原因が理解できるわけではありません.例えば「概念が理解できていない」という問題に関しても,「理解できていない」という現象にラベルが貼られて「ポンッ」と現れるわけでもありません.開発している様子から,問題の場所を特定し,その原因をなんとか言葉にしていかないといけません.雲のようになんとなくみえるのだけど,詳しく近づいて見ると見えなくなる,掴もうと思っても触れない,そんなもどかしさを感じていました.調査する環境を試しつつ前回の失敗をつぶし,つかめない原因をつかむめるようにもがいた,半年だったように感じます.
しかし,必要以上に時間がかかったのは,何よりも単純に「実施回数が少なかったから」というのが大きな要因だったと思います.自分のなかで調査やシステムのクオリティに満足しておらず,このような状況で調査をお願いすることにためらいを感じ,結果として調査の回数が少なくなってしまいました(予備調査なのでクオリティが低いことは当然なのですが......)もちろん私のセンスが無かった部分も大いにありますが,もっと早いペースでもっと多くの調査を実施すればもう少し早く学べたように思います.
5月にはもう一度,大規模な実験を行う予定です.システムや実験をより洗練したものにするためにも,上に述べた失敗を踏まえつつ予備実験・調査を重ねたいと思います.
来年度もよろしくお願いいたします.
【原田悠我】