2017.03.14

【山内研 今年度のまとめ】修士研究残りの期間でやるべきこと(M1 根本紘志)

先日、研究室の春合宿がありました。テーマは「研究法を引き継ぐ」こと。
修士論文を書き上げたM2の方々のヒストリーを伺いながら、この1年間を振り返り、M1が今後やっていくべきことを考える機会となりました。

今年のテーマは「修士論文を書くまでにやらなければいけないこと」。
M1があと1年間でやらなければいけないことを、先輩方の経験を元に考えました。

(研究科や専攻によって異なると思いますが、)修士論文は大まかに4章立てに分かれるとされます。

第1章:研究の背景
 なぜその研究が①社会的に②学術的に意義があるのか?とリサーチクエスチョン

第2章:研究の方法
 どのように研究を行うのか?(実践の内容やデータの取り方)

第3章:研究の結果
 実践や調査の結果どのようなデータが取れたのか?

第4章:研究の結論と考察
 第1章で立てたリサーチクエスチョンに対する答えはどのようなものか?
 研究の社会的・学術的意義は?

山内研のM1期間は、基本的に第1章(と第2章の一部)を固めることに専念します。
修士入学時に自力で書いてみた研究計画書を解きほぐし、特に学術的な歴史(先行研究)を調べながら自分の研究を位置づけようとします。

それがほぼ終わり(...!)となるこの期間に、第2〜4章をどのように書いていくのか?を肌で感じる(そして結構大変であることに気づく)合宿でした。

自身の研究は現時点で「現場などの介入対象に対して何かしらの介入を実施し、その成果をデータとして取る」形の実践(実験・準実験かも?)を予定しています。
そのことも含めて、M2の先輩方の発表&助教の方も含めたグループワークで以下のような点についてアドバイスをいただきました。

①どんな変化を起こすのか?を具体的に
ただの実践では無く「実践研究」であるためには、介入の結果何かしらの変化が起きなければなりません。そして、実践であれば「何か変わった気」がすることがまず大事ですが、研究の場合は何かが「明確に変わった」ことが言える必要があります。
人の学習はとても複雑で、いっぺんに何かが「明確に変わる」ことはなかなか起きません。その中でも何が「明確に変わるべき」なのかを絞り込む必要があり...最近は「結局、学習者がどう変わっていれば良いの?」という問いをひたすら突きつけられています。

②それをどのスパンでどう測るのか?を具体的に
修士研究に使える時間はあと1年。準備(後述)を考えると、実践に使える期間はそう多くありません。多めに見積もっても約1ヶ月間。①で起きる変化を、1ヶ月間という期間でどう捉えるのか?(インタビューなのか質問紙なのか、授業中などの言動なのか...)
実践後、「マインドセットは変わったけど行動はあまり変わらなかった」という状況が起きた場合、インタビューや質問紙を取っていなければ手遅れです。事前にどう測るのか?の設計ができていないといざデータを取っても手遅れになってしまうことも...

③どのようにデータを取るか?を具体的に
実験室であってもデータを取るのはそう簡単ではないのですが、教室などでデータを取る場合、研究に協力してくださる方の学習活動を邪魔せずに研究に使えるデータを取らなければなりません。しかも、インタビューなどであればボイスレコーダーのスイッチ入れ忘れ、カメラのバッテリー切れなどが致命的です(そして時々ある)。
実践を行ってデータを取る場合には、それに加えて実践活動自体が上手くいく必要があります。先生やファシリテータの役割もしながら同時に調査員の役割もこなす...マルチタスクのあまり得意でない自分にとっては結構な挑戦です...
多くの場合、こうしたことを防ぐために事前にプレ実践(や予備調査)を行うことが一般的です。つまり、プレ実践+本調査合わせて2ヶ月程度はかかることになります...

④どのようにデータを分析するか?
研究としての知見を出すためには取ったデータを分析する必要があります。
質的に分析するのであればコーディングの基準など、量的に分析するのであればどのような分析手法、検定を用いるのかといったことを選び「いざ分析」という時には手を動かせるようにしておくことが大事。つまりは、データを取りつつ並行して分析手法を学習する必要が...

⑤そして自分の研究の社会的・学術的意義は?
この点は結構M1の期間に固めて仮説を作ってきているのですが、当然実践をしながら、データを取りながら、データを分析しながら仮説は常に変わります。M2の方も「実際に修論を書きながら追加で学術書や論文を読んでいた」とおっしゃっていました。

M1の時にやっていたことは⑤をじっくり...。
M2でやるべきことがいかに多いかが見えて来ていて、戦々恐々としています。

加えていざ初めてみてわかったのですが、論文を読んだり先行研究をまとめたりといった作業(特に後者)は意識しないと難しいということがこの1年の個人的な反省として残っています。自分の関心に合った学術書や論文を読むので基本的に面白くなって「あ、こういうことが分かっているのならこういうことはどうなんだろう?あ、この論文も近そうだ...!」といって次々に手が出てしまいます。「思い切って時間を取ってまとめる時間を作る」「何本読んだら書く」というキメが大事だということをアドバイスとしていただきました。

M1の1年間は自分の研究以外にも授業があり、思えばあっという間に過ぎ去ってしまった1年だったように感じます。修士生活もあと1年...もう半分過ぎてしまったと思うと焦りがつのりますが、これまでの先輩方も2年で修論を書き上げているという事実を胸に、これからの1年(実際はあと10ヶ月弱)頑張っていきたいと思います。

根本紘志

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