2017.02.18
こんにちは。山内研修士1年の江﨑 文武です。いよいよ年度末ということで、本ブログでも、今年度のまとめとして在籍生による1年の振り返りを投稿していきます。
春:
学部を音楽学部で過ごした私にとっては、論文を読むという行為自体が新鮮であり、また、修士課程での生活の基本となる「読んだ論文を元に自分の考えや今後の研究の方向性をまとめていく」という作業は、そう簡単にスラスラと出来るものではありませんでした。
しかし、山内研究室では、修士2年以上の方々からのサポートはもちろん、自分の研究領域と近い研究を行っている博士課程、助教授の方々が研究指導をしてくださるファシリテーター制が敷かれており、行き詰まった場合でも迅速に適切な指導を受けられる体制が整えられています。
未だに不慣れな部分は多くありますが、これらのサポートによって、研究とは如何なるものなのかということが少しずつ理解出来てきたように思います。
夏:
先週の根本さんによるレポートでもご報告させて頂いたように、夏は島根:出雲で行われた山内研究室の研究合宿に参加しました。詳しくは根本さんのレポートを参照していただくことにして、研究室での研究が実社会・実生活でどのように活きるのかということを身を以て感じることができました。また、私の研究テーマである「幼児向けのデジタルアプリケーションのデザインに関する研究」に関連して、実際に幼稚園の現場でタブレットの導入を推進している、聖愛幼稚園の授業見学にお邪魔しました。これまで培われてきた園での指導メソッドをベースに、ICTを使うからこそ実現できる新しい体験が様々な形で提供されていました。難なくタブレットの活用に適応し、能動的に活動に取り組んでいる園児を見て、今後の展開が非常に楽しみになりました。
秋:
9月に大阪大学で行われた日本教育工学会第32回全国大会に参加しました。初の学会参加でした。諸般の事情により短時間の参加となってしまったのですが、研究成果はこのような形で共有されるのだなということ、そしてそこで生まれる交流を通して研究がより洗練されたものになっていくプロセスを目の当たりにし、貴重な経験となりました。
また、この時期までの様々な文献レビューを通して、研究テーマが「幼児向けのデジタルアプリケーションのデザイン」から「幼児の言語獲得(母語)を支援するデジタルアプリケーションの開発」へと絞られていきました。幼児の発達の中で「言語を獲得する」ことは重要な変化のうちの1つです。また、話し言葉から書き言葉へと移行する段階に一定の困難があることも次第に明らかになっていきました。
冬:
修士課程2年への進学を目前に控え、研究計画をより具体的なものに仕上げていく過程に入りました。
学際情報学府の授業では、様々な研究法を、受講者同士のディスカッションを交えながら習得していく講義が設けられており、私のようにこれまで学術的な研究のフィールドとは無縁の場所にいた人間でも修士論文を執筆することの出来るよう配慮がされています。
私は質問紙を用いた研究法に関する講義とデザインリサーチを中心に様々な研究を紹介する講義を受講し、研究計画を仕上げていきました。現段階では「幼児の母語における音韻意識獲得を支援するデジタルアプリケーションの開発」と題し、研究を進める予定です。
まとめ:
この1年は私にとって学習環境が大きく変化した激動の1年でした。
音楽を制作したりグラフィックデザインをしたりと、モノを作り続けることで過ごした4年間を鑑みると、ひたすら先行研究を読みながら自分のリサーチクエスチョンを探すという生活は、制作のためのインプットをし続けている印象に近く、はじめはなかなか馴染めませんでした。しかし、自分の研究をどこに位置付けるのかということがいかに重要で、それは先行研究を多くレビューしなければ決して出来ないことであるということが、この1年の生活を通して理解出来たように思えます。
残りの修士生活を通して、よりリサーチクエスチョンが洗練されたものになるよう、そして、学部自体に培った「モノを作る」技術が活きるような研究になるよう、引き続き精進してまいります。
【江﨑】