2016.11.04

【山内研っぽい1冊】『Lost Opportunities』

こんにちは。D1の池田です。山内研っぽい1冊シリーズも残す所2回となりました。
今回、私からは『Lost Opportunities』というタイトルの本を紹介しようと思います。

学校外における子どもたちの学びについて書かれた本で、2014年度に山内研で輪読していた本でもあります。

さて、学びとはどう言った場で起こるものなのでしょうか?
一般的に、学びが起こる場所として学校や教室とイメージする人が多いかもしれません。
しかしながら、我々は学校においてはもちろん、学校外の場所、時間においても様々なことを学んでいます。

この本の中で紹介されているものを例にとると
例えば、水族館に訪れた親子の以下の会話の中にも科学に関する学びがあります。
例) 2歳の女の子と父親が、水槽の中で泳いでいる魚を見ている場面における会話
女の子:なんでこの魚は毛皮を動かしているの?
父:毛皮?これはえらだよ。
女の子:なんで、この魚はえらを動かしているの?
父:水中で呼吸をするために魚たちはえらを動かすんだよ。

会話の中で父親は目の前のこの魚だけではなく、「水中で呼吸をするために魚たちはえらを動かすんだよ。」と述べることで、目の前で起きている個別具体的な事象を一般化しています。認知発達の観点からみても2歳児は、目の前で起こる個別的な事象が、個別的にだけ起るのでなく、一般的な事象であるということを理解できるとされているため、女の子はきっと、魚たちはエラを使って呼吸をするんだということを学んだと考えられます。

このように、授業や教科書を通じてはもちろんのこと、日常の中で、様々なものを見る中で、他人と会話をする中で"学び"が生じています。また、学外で経験したことや学んだことを、学校での学習に生かすことによってより深い理解が促されることも示されてきています。
『Lost Opportunities』では、特にSTEM領域の学習を中心に、教室外での学びや、教室外で得た知識と学校での学びの接続等についての研究について紹介されています。面白い事例がたくさんのっているので興味がある方は是非。以上、様々な場面での学習を扱っているところが、なんだか少し"山内研っぽい"と思いこの1冊を紹介させていただきました。最終回はD3の佐藤さんです。

【池田めぐみ】

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