2016.08.16
こんにちは!修士1年の江﨑 文武です。厳しい暑さが続いていますが、いかがお過ごしでしょうか?
私は夏期休業に入って間もなく、出張で3週間ほどルーマニア / ドナウ・デルタとインドネシア / バリに滞在しておりまして、2日前に帰国しました。
さて、今回のブログのテーマは【山内研っぽい1冊】ということで、カバンに忍ばせていたら「山内研かな?」と思われるような1冊を紹介するというシリーズです。私が紹介するのは『子どものUXデザイン ―遊びと学びのデジタルエクスペリエンス』という本です。
これは、私が現在スタートアップで取り組んでいる幼児向け知育・教育アプリケーション開発、また、修士で研究したいと思っている「幼児向け教育・知育アプリケーション開発のデザイン」に直結する内容で、デジタル社会における子どもたちの学習環境のUX(ユーザーエクスペリエンス)について、ピアジェの認知発達理論をベースに、実践的指南となるような事例が紹介された、たいへん読みやすい本です。
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生まれた時から周りを「画面」に囲まれて育つデジタル・ネイティブ。
そんな子どもたちに、豊かなディスプレイ体験を届けるためにはどのようなデザインが必要なのか?
本書は、20世紀において最も影響力の大きい心理学者の一人であるジャン・ピアジェの認知発達理論をベースに、子ども向けのデジタル製品(アプリ、ウェブサイト、ゲームなど)の作り方のキモを具体的に解説する一冊。
4つの発達段階―感覚運動段階/前操作段階/具体的操作段階/形式的操作段階―をさらに2歳刻みに分けて論じ、すぐに成長して年齢の境界線をまたいでいく子ども特有のニーズについて、より効果的に対応できるようにした、具体的で実践的なアドバイス集。子ども向けデジタルプロダクトの製作に関わる開発者やデザイナーまたは教育関係者必読の内容。原書はRosenfeld Mediaの『Design for Kids: Digital Products for Playing and Learning』。
著者のデブラ・レヴィン・ゲルマンは、インタラクションを伴う子ども向けメディアのライターであり、リサーチャー、デザイナー、ストラテジスト。PBS Kids、Sprout、Scholastic、Crayola、NBC Universal、Comcastなどのクライアントとともに、子ども向けのサイトやアプリ、仮想世界を制作してきた。『USAトゥデイ』紙の「ベストベット賞」を受賞した『プラネットオレンジ』―小学生およびその教師と親をターゲットにした、お金に関する基礎知識を教えるサイト―では、リサーチとデザインの中心的役割を担った。 デザイン事務所や社内デザイン部門に所属して腕を磨き、その後、EPAM社で、デジタルストラテジー&エクスペリエンスデザインのチームを立ち上げに参画。現在は、このチームのユーザーエクスペリエンス部門のディレクターを務める。また、WebVision や、IA Summit、IxDA、US Lisbon、UXPAなどのカンファレンスで頻繁に講演をおこない、ワークショップを開催するほか、『A List Apart』や『UXマガジン』誌への寄稿も行っている。
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最近では2, 3歳児でも器用にスマートフォン/タブレット端末を扱えるようになっていることに加え、小学生にもなれば、動画編集、画像編集、音楽制作などもそれらの端末上でこなせる場合が多いようです。私の知人のお子さん(3歳)は、タブレット端末の操作法をいつの間にか親から見よう見まねで学び、最近では、自分の好きな海外のアニメーションをアルファベットをタイプしながら動画共有サイトで器用に検索、視聴できるようになっていたと言います。私たちが思っている以上に、現代の子どもたちは早い段階でデジタル環境に順応し、また、それらから多くを学んでいるのかもしれません。本書は、そんな新世代の「学習環境」を考える上で欠かせない一冊なのではと思っています。
それでは次回もお楽しみに。
【江﨑文武】