2016.07.19

【山内研っぽい1冊】『インフォーマル学習』

暑い夏がやってきていますね!みなさまいかがお過ごしでしょうか。
夕方から夜のゲリラ豪雨がときたまあるので、いつもビクビクしながら帰路についているM2の青木です。

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今回から、新しいテーマ、【山内研っぽい1冊】が始まります。
鞄の中に忍ばせていたら「もしかして、あなた山内研ですか...?」と言われてしまいそうな1冊を紹介するということだそうです。過去には、【山内研の必読図書】というテーマがあったようですが、ここよりは少しライトな書籍でもよいということです。

といいつつも、一発目の私は、ライトな本というよりも、学術書を紹介したいと思います。
それは教育工学選書シリーズの、『インフォーマル学習』です!

山内研は、他の教育工学の研究室に比べるとインフォーマル学習を研究している人が多いのではないかと思います。
編著者も山内先生ですので、山内研っぽい一冊になるかと思います。

学習ときくと、学校での学習が一番に思いつきますが、そういった公的に設計された学習以外にも、わたしたちは、日々博物館やイベントに参加したり、オンラインコンテンツを読んだり、働いたりしながら学んでいます。そういった公式の学習以外の学習形態を、広義のインフォーマル学習と呼びます。

近年は、こういったインフォーマル学習の研究への注目が世界的にも集まっています。以前、池田さんもYlabのブログで紹介してくださいました。

そんななか、この書籍では、インフォーマル学習に対して、これまでどのような研究がなされ、今後どのような研究を積み重ねていくのか?について、幅広いテーマから論じられています。

<<目次はこちら>>
序 章 教育工学とインフォーマル学習
第1章 生涯学習施設とインフォーマル学習
第2章 職場とインフォーマル学習
第3章 大学教育とインフォーマル学習
第4章 子どもの発達とインフォーマル学習
第5章 ワークショップとインフォーマル学習
第6章 ICTとインフォーマル学習
終 章 変化する社会とインフォーマル学習

特に、私が気になっているのは、フォーマルとそれ以外の活動をどのように結びつけていくかということです。
たとえば、反転学習も1つのフォーマルとインフォーマルの接続のあり方です。従来、学校外で行っていた課題(宿題)を学校で対面にて行い、知識のインプットを学校外で行うというやり方は、フォーマルとインフォーマルの新しい融合の仕方といえます。他にも、美術館・博物館と、学校、地域がネットワークされていく事例や、学校外で自主的に学んだことが学校の中の新しい活動に活かされた事例などの研究もなされています。
今後は、フォーマル、インフォーマルといった切り分けではなく、学びの生態系に目を向けていくことが大事なのではないでしょうか。

この本の終章において、山内は、今後の社会を生き抜いていくためには、「学校で学ぶことと学校外で学ぶことがゆるやかにつながり、総体として豊かで高度な学習を実現」する必要があると述べています。そして、そのような学びの実現のために、教育工学では、具体的な方法や技術を研究していく必要があると述べています。
実際に、これからの修士研究でもこのことはしっかり意識していかなければならないなあ、と感じています。

ですので、インフォーマル学習を研究したい方はもちろんのこと、総合的な視野をもって学校での学習を研究したい方にもオススメの1冊です!

【青木翔子】

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