2014.12.08

【おすすめの授業】デジタルミュージアム展示論と総合分析情報学特論

こんにちは,M2の吉川遼です.

朝晩の冷え込みも厳しくなり,いっそう冬の訪れを感じられるようになってまいりました.
東大の銀杏もすっかり色づき,通りがかる人が足を止めてカメラを取り出す姿もたびたび見かけます.
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冬本番ということは,今年も残り僅か,ということでもあります.1月の論文提出にむけて着々と準備を進め,少しでもよい研究にすることができればと思います.

さて,今回からの研究室ブログのテーマは「おすすめの授業」ということで,今週より7週にわたって,各ゼミ生がこれまで受講してきた授業の中からオススメの授業をについて各自の視点から紹介してまいります.

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修士課程は基本的に2年間で修了することが多いのですが,2年目は自分の研究や実践,学会発表などの準備に追われるため,1年目に多く履修しておき,2年目の研究用の時間を確保しておく...という人が多い印象を受けます.

僕自身,1年目に自分の興味関心に近い面白そうな授業を多く履修したので,そこでのプロジェクトや講義内容に影響を受け,自分の研究に還元できた内容も数多くありました.

例えば,入学当初は博物館での展示物学習に関心があったので,東京都現代美術館学芸員の森山朋絵先生が開講されていた「デジタルミュージアム展示論」を受講し,国内外のメディアアート作品の変遷や動向について見識を深めました.

この授業では,森山先生がメディアアート作品や展示方法について厖大な事例を紹介してくださったのですが,その中で印象に残ったのがメディアアーティストの八谷和彦さんが1993年に発表した「視聴覚交換マシン」でした.

「視聴覚交換マシン」は96年にアルスエレクトロニカでも展示されていたので,御存知の方も多いかと思いますが,このデバイスを装着することで相手と視聴覚を「交換」することができる,というものです.

この「感覚を交換する」というコンセプトが僕にとっては非常に衝撃的でした.授業履修後もしばらくは研究テーマが二転三転し,悶々としていたのですが,1年目も終わりに差し掛かった2012年の1月辺りから「熟達者の追体験」に研究の方向性が固まりはじめ,「どのように感覚や体験を共有出来るか?」という時に「視点の共有」「聴覚の共有」といったキーワードが浮かんできました.

「感覚の共有」に関心を持つようになったもう1つのきっかけは,1年目の後期に履修した「総合分析情報学特論XII」でした.
この授業は暦本純一先生が開講されていた授業で,各回にゲスト講師がそれぞれ講義を行う形式でした.

僕が受講していた時は,takramの田川欣哉さんや,電気通信大学の梶本裕之先生などが講義をされていましたが,田川さんはプロトタイピングメソッドを使うことによるプロダクトデザインの進め方だったり,梶本先生は触覚を用いた視触覚クロスモーダル現象な体験の生み出し方についてとても興味深い事例を紹介されていました.

また,この授業の後半では,受講している学生がテクノロジを用いた新しいシステムやサービスをプレゼンしていたのですが,みなさん独創的かつフィージビリティの高いアイデアばかりでとても刺激的でした.

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こうして振り返ってみると,僕の場合はメディアデザインやテクノロジ利用に関する授業を多く取ることが,自分の研究にとっての多様なインプットとして機能していたように思えます.

当時は授業とグループワーク,研究でいっぱいいっぱいではありましたが,もう少し教育関連の授業も取っておけばよかったなあ,と少し後悔もしています.

次回はM2の青木くんです.どんな授業を紹介してくれるのでしょうか.お楽しみに.

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