2014.02.07

【2年間をふりかえって】時間蝿は矢を好む

先日行われた修論審査会を無事乗り切り,とりあえず一区切りついたM2の梶浦美咲です.
今回から毎年恒例1,2年間のふりかえりをテーマにブログをお送りします!

私にとって最後のYlabブログなので,今回は私の回顧録として2年間どのように研究を進めていったのかを記事にしてみたいと思います.

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【M1の前半:支援対象者の現状調査 & 先行研究レビュー】
一番最初,初年次大学生にメタ認知を促して学習計画を支援するシステムを開発したい,ということで山内研の門を叩いたのですが,ゼミメンバーから本当に初年次大学生はそれを必要としているのか,どのような困難を抱えているのかインタビューしてはどうか,という提案がありました.
そこで,もともとインタビュー調査の経験は皆無であったため,質的調査の作法など本を読みながら手探りで学び,先行研究のレビューと並行して大学生へのインタビューに臨みました.実際は同じ世代であったために全く緊張もせず,むしろインタビューから現場の声を聴くことで私が学部生であったときに抱いていた考え,勉強法とは違うものに触れることができ,非常に興味深かったです.
また,研究室の博士課程の先輩方からは,上手な学習方略のヒアリングをさせて頂きました.授業内容を自分の興味と関連づけて考える,友人とゲーム感覚で得点を競い合うなどの方法を伺い個人的には収穫が大きく,今振り返ってみても良い経験をさせて頂いたと思いました.

【M1の後半:システムアイデアの発想】
支援対象となる大学生像が大体描けてきた後は,ひたすら開発するシステムのアイデア出しをしました.質より量を優先してKJ法,オズボーンのチェックリスト法を使用したり,ロジックツリー,コンセプトマップを作成したりして,実現不可能であってもくだらないものであっても,とにかくひたすらアイデアを出していきました.アイデアは普段使用しているメディアの機能と組み合わせて考えたりもしました.
そのプロセスを経てみつけた良さそうな案を深化させ,最終的に他者の講義メモの入力状況を通知する講義の聴き方支援システムというアイデアに収束しました.ちなみにこのシステム案は宝探し+facebookメッセージの「入力中...」通知から着想を得ました.面白いシステムにするにはどうしたら良いか,自分1人で考え込まず,他の人とディスカッションするなどして数ヶ月考え続ける日々が続いたことを覚えています.

【M2の前半:システム開発】
そして開発フェーズ.もともと何かしらシステムを開発してみたいという思いが強かったのですが,当時の私のプログラミングスキルではシステムを開発できる自信がなく,やりたいという気持ちが強まる反面,実現できるのか不安が募るばかりでした.
そこで,自分なりにアプリ開発のできるベンチャー企業でアルバイトをしてプログラミングを学んだり,プログラミングに関する書籍を何冊も買い込んで家でひたすらコーディングをしたり....開発にこぎつけるまで私なりに試行錯誤して努力を重ねていました.
分からない部分はバイト先の社員さんに教えて頂いたりトラブルが発生した際は助けて頂いたりとお世話になりつつも,最終的には独力で開発できるまでもっていけたので,とても達成感がありましたし,自分の夢が実現して本当に幸せでした.システム開発中に自分の思い通りに動いてくれずやきもきすることも多々ありましたが,その分システムが完成したときには自分自身をほめていました(笑).

【M2の後半:評価実験・分析 & 修論執筆】
最後に評価実験をしました.正直評価実験もかなり苦労しました.被験者にPCでシステムを使用してもらえばすぐに実験が行える,と楽観的に考えていましたが,多人数で使用するシステムであるため,サーバーに負荷がかかってしまったり,プロトコルの通信速度に問題が生じたり,プロトコルが切断されたり,使用するパソコンが頻繁にフリーズしたりとにかく直前になって問題が多発し,もう修了できないのではないか,と危機感を抱いたときもありました(笑).
しかし数度の予備実験を重ね,最良の実験環境を模索したり,様々なトラブルを想定して対処プログラムを急遽追加したりして自分なりに最善を尽くした結果,なんとか評価実験を成功させることができました.システムの評価実験はトラブルが付きものだということを痛感しました.これも良い思い出です(笑).

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この2年間,今振り返ると沢山の経験を積んできたように思えますが,実感としてはあっという間に時がかけていったという感じです.学部生時代は指導教官に手取り足取り指導して頂き,あまり困難を感じませんでしたが,それに比較するとよく頭を使った気がします.
研究について沢山思考を巡らせて納得のいく研究ができて,本当に幸せを感じた2年間でした.しかし周囲の助け無しにはこのような充実した2年間は過ごせなかったと思います.研究を進める上で本当に多くの方にお世話になりました.数々の場面で助けて下さった方々に改めて感謝させて頂きます.ありがとうございました.
2年間の経験を人生の糧に,社会人になってからも精進していこうと思います.


※評価実験前に日本教育工学会第29回全国大会(2013年9月20日(金)~23日(月))でポスター発表をしたので,その際使用したポスターを記念(笑)にアップします.
JSETポスター「講義メモ書き込み状況アウェアネスに基づいた講義の聴き方支援システムの開発」

梶浦美咲

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