2013.11.22
みなさんこんにちは。山内研修士1年の青木智寛です。
早いもので今年も残すところあと1ヶ月...
修士課程も1/4を過ぎて自分はどれだけ成長したのだろうかと自問自答する毎日です。
さて、第4回となった今回のブログテーマ「参考になった研究法」ですが、研究内容が完全に決まっていない修士1年である自分にとっては、「参考になった研究法」というよりも、「参考にしていきたい研究法」というテーマのほうがふさわしいかもしれません。さらに言えば、研究の各段階における手法、たとえば開発方法や分析手法などではなく、まずは「研究プロセス」として大きく捉えて紹介してみたいと思います。
僕は、最終的に学習を促進させる人工物として、システム開発をおこなう研究を進めていきたいと考えているので、基本的な研究のプロセスとしては
支援原理の設定→学習支援システム開発→実践→評価→考察
といった流れで進めていきたいと考えています。(と、いうよりも進めている最中です)そこで今回、システム開発を行い、実践し、評価した論文として、
「八重樫文,望月俊男,加藤浩,西森年寿,永盛祐介,藤田忍(2007) デザイン境域の特徴を取り入れたプロジェクト学習支援機能の設計,日本教育工学会論文誌,31(Suppl.), 193-196」
をご紹介させていただこうと思います。この論文ではプロジェクト型学習におけるグループウェアの機能について検討し、実際にシステム開発を行い、実践し、その結果分析までおこなっています。
論の構成は、上で挙げた大まかな研究のプロセスにほぼ沿った形で展開しています。
<1章>
問題解決型学習・プロジェクト型学習における現状の問題点を整理し、分散型環境におけるグループ学習活動が円滑に進んでいないことを述べています。
<2章>
その問題を解決するために取り入れた特徴的な支援原理、"デザイン教育"における"工房・スタジオ的学習環境"の特徴が説明されています。
<3章>
2章の原理を実際にどのような形でシステムに実装したかが述べられ、携帯電話のどの画面にどのような内容が表示されるか、またデータ管理の仕組みなどが表も用いて、詳しく述べられています。
<4章>
授業実践の様子と評価方法が述べられ、実践を行った授業の期間や形態と、質問紙による評価の尺度や、有効回答数などが説明されています。
<5章>結果と考察として、質問紙で調査した項目を統計処理した結果が示され(5件法、マンホイットニーのU検定)、その理由についても述べています。
<6章>
まとめと今後の課題として、考察で説明しきれなかった部分を中心に今後の指針を示して、締めくくられています。
実際に研究を進めていくに従って、やるべき課題は時期と進捗状況によって異なってきますが、大まかな指針としては以上で示したような研究の流れに沿って進めていきたいと考えています。ただ、ボトムアップ型に進めることだけが全てではないことも念頭に入れて、スタックしてしまった時は先生・先輩方との相談の結果も受け入れながら検討していきたいと考えています。
【青木智寛】