2013.10.19
こんにちは!M2の梶浦美咲です。
もう10月も後半にさしかかり、修論が佳境に入ってきている今日この頃、私は開発したシステムの評価実験を丁度昨日行ったところです。
そしてブログの方は今週から新たなテーマ【参考になった研究の方法論】に切り替わります。
研究方法に関する書籍や、研究方法を参考にしている(したい)論文などをご紹介していきます♪
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まず第1回目は研究方法に関する書籍ということで、IBM SPSS Statisticsを使った統計分析をする際に参考になりそうな本をご紹介しようと思います!
「SPSSによるやさしい統計学」(岸学 2012年)です。
実験や調査をしてデータに関係性があるか、差があるかの統計分析をする際に役立つツールがSPSSです。
フリーソフトであるRでも統計分析は可能ですが、SPSSの方が直感的に分かりやすく慣れればとても使いやすいツールだと思います。
しかし慣れないとどのように操作したら良いのか、なかなか分かり辛いと思うのでこのような本を読みながら分析すると良いのではないでしょうか。
私も初めてSPSSに触ったとき、どのようにしたら良いのか分かりませんでした...(笑)
この「SPSSによるやさしい統計学」では多変量解析(共分散構造分析、因子分析、重回帰分析など)を除いた一通りの分析方法が紹介されています。
実際に架空のサンプルデータを使って、データの統計分析の手順である「尺度の確定」⇒「記述統計」⇒「変数の変換」⇒「推測統計」の流れに沿ってSPSSの操作が学べます。ところどころ実際のSPSSの操作画面が出てくるので分かりやすいです。
また、分析する上で出てきた統計学の用語についての解説も説明されているので統計学の勉強にもなります。
ちゃんと各用語を説明する数式まで紹介されています。
一応統計分析の手順を紹介しておきます。
①尺度の確定...各変数を名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比尺度に分類する。
②記述統計...データの様子をわかりやすく表現する。度数分布を描く、代表値(平均値、中央値など)を求める、散布度(標準偏差、四分位偏差など)を求めるなどの方法がある。
③変数の変換...必要に応じてデータを変換する。データをもとに対象者をグループ分けする、異なる平均値や標準偏差になっている得点同士を比較する、度数分布の中での位置をとらえやすくするなど。
④推測統計...「関係があるか」「差があるか」の分析をして、標本から母集団の様子を明らかにし、研究を通じて知りたかった仮説や目的に答える。
以上のような手順で分析をしていきます。
また、調査や実験に使用する質問紙を作成する際に考えるべき評定法の程度量表現用語の尺度(すごく、非常に、すこし、あまり、ぜんぜん等)が与える印象に関することも説明されています。個人的には大学生、中学生、小学生など被験者に応じて各用語が与える印象がどのように違うのか、ということまで説明されていて勉強になりましたし、質問紙を作成する際に役立つと思いました。
分析方法の章では、自分のデータに適合する分析方法の選び方もしっかり説明されています。
データ分析は基本的に「関係があるか」の分析と「差があるか」の分析に分類できます。
「関係があるかの分析」は、対象者が2つ以上の変数で表される特性をどの程度持っているかを示す分析、
「差があるかの分析」は、独立変数(要因)と従属変数があり、独立変数(要因)の値によって従属変数の値がどのように変動するかを示す分析
です。取得したデータの構造に応じて分析方法を選ぶ方法まで紹介されているため、とても役立ちそうです。
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その他、統計を基礎から学ぶのにおすすめなのが早稲田大学人間科学学術院・向後千春研究室が開発したWeb教材、
「ハンバーガー統計学( http://kogolab.chillout.jp/elearn/hamburger/ )」
「アイスクリーム統計学( http://kogolab.chillout.jp/elearn/icecream/index.html )」です。
ハンバーガーショップ、アイスクリーム屋さんにいる、という架空のストーリーに沿って統計学の学習が進んでいきます。
前者ではt検定、分散分析etc.、後者では回帰分析、因子分析etc.が面白く学べます。
書籍版もあるのですが、Excelを使用して学習が進んでいくので、こちらのWebバージョンが使いやすいかと思いました。
また、学部時代に初めて統計学を授業で学んだ際に使用していたのが「ゼロから学ぶ統計解析」(小寺平治 2002年)という本で、
こちらは数式を用いて統計学の専門用語が説明されていて、数式からしっかり統計学を学ぶ場合におすすめできます。
事例に基づいて各分析手法について説明がなされていたため分かりやすかったです。
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私は丁度昨日18日金曜日、開発した講義の聴き方支援システムの評価実験を行ったので、これから実験で得たデータを使って分析を行います。
私の実験は、他者の講義メモ書き込み状況を通知するシステムを使用した実験群・他者の講義メモ書き込み状況を通知しないシステムを使用した統制群の二群で行いました。一要因二水準の被験者間実験でした。
サンプルサイズが10:9でしたのでデータが正規分布に従った際に使用するパラメトリック検定(t検定)は使用せず、正規分布に従う必要のない、ノンパラメトリック検定(マン・ホイットニーのU検定)を使用して両群における有意差検定を行おうと考えています。
どんな結果が出るのかどきどきですが、しっかりデータと向き合いなんとか修論として成果を出したいと思っています!
【梶浦美咲】