2013.09.13

【突撃OB・OGインタビュー】椎木 衛さん(株式会社ベネッセホールディングス)

皆さまこんにちは、山内研M1の青木智寛です。
残暑が厳しいものの、夕方になるとだんだんと涼しくなり、秋の訪れを感じる最近ですね。
読書の秋・スポーツの秋・食欲の秋...だけでなく研究の秋にもしていきたいと思っている今日このごろです。

さて、今回、山内研ブログ特別企画【突撃OB・OGインタビュー】ということで、第5回目の記事は、
株式会社ベネッセホールディングスの 椎木衛 さんのインタビューの模様をお伝えしたいと思います。

椎木さんが勤めていらっしゃるベネッセでは、僕がこれから研究のテーマにしていきたいと思っている、ICTを利用した学びに関連する事業もされているということで、今回突撃インタビューをさせていただきました。

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◯現在のご所属と、お仕事の内容について聞かせて下さい。

現在、株式会社ベネッセホールディングスのグローバルソーシャルイノベーション部に所属しており、新規事業の開発をしています。

ベネッセというと、昔から進研ゼミや進研模試といった事業で有名ですが、ベルリッツ(※1)やベネッセスタイルケア(※2)などの、通信教育や模試以外の事業も進められており、このような、5年後、10年後にベネッセを支えるような新規事業の開発をすることに従事しています。
今やっていることは、具体的に大きく分けて2つあります。
1つ目は電気自動車の研究開発と普及活動です(※3)。ベネッセが電気自動車?と思われる方も多いと思いますが、子どもたちの未来の地球環境、生活環境を総合的に捉えたときの、学習環境にとどまらない未来の子どもたちの生活に必要なものとしての電気自動車の普及を考えています。
2つ目は新興国におけるソーシャルメディアの活用についての研究開発と普及活動です。こちらも教育に限らず、人々の生活全体としてのソーシャルメディアの可能性について活動に取り組んでいます。


◯山内研に所属するに至った経緯を聞かせていただけますか?

山内研に所属していたのは2003年から2005年の修士の2年間なのですが、その当時はマーケティング部に所属していました。
ちょうどその頃は、インターネットをビジネスに応用させるということが盛んになっていました。ベネッセでも、通信教育の形態が紙媒体中心から、ネットワークやマルチメディア教材とMIXしたものに変化していたところです。そこで、自分もそのような状況での教育のあり方について学ばなければ、と思いながらも、会社内や書籍だけで学ぶことになんとなく限界を感じていました。もっと体系的に知識を吸収し、同じ領域を学ぶ仲間と切磋琢磨することで知識を深めたいと思っていたところ、情報学環の山内研に出会いました。自分は社会人であるということもあり、山内研で学ぶことができるかどうか非常に不安でしたが、山内先生とご相談させていただいたことも励みになって、入試にも合格し、山内研での2年間を過ごすことになりました。


◯社会人をされながら修士生として学生生活を送られたということですが、苦労したことはありましたか?

学校まで移動して授業を受けなければならないことが、物理的、時間的につらかったですね。特に当時は多摩センターで働いていたこともあり、木曜日のゼミ(※4)のために1時間以上かけて東大の本郷まで移動することが大変でした。他の授業も同様に、移動して受けなければならなかったのですが、そんな状況を救ってくれたのがiii-online(※5)でした。当時、場所を選ばず、いつでもどこでも大学の授業を受けられ、単位認定されるというシステムは画期的で非常に救われたのですが、実際にそのような新しい学びを体験したことが、その後のベネッセでの自分の仕事で生かされたことも大きな収穫でした。

また、つらい時期という意味では、修士2年の冬が一番つらかったですね。私の業界の特性上、11月から1月にかけてはかなり忙しい時期なのですが、ちょうどその時期は修士論文を書いて提出しなければならない時期でした。当時の社会人として同期だった八重樫さん(※6)とともに休日や年末年始に一日中学校にこもって進捗を図る、バーチャル合宿を開催するなどして、なんとか修士論文を書き上げました。研究室では今まで提出に間に合わなかった論文はないという「伝説」を聞いていたので、自分が不名誉第1号にならないように必死で書き上げました(笑)


◯山内研や学府の学生にアドバイスやメッセージがあればお願いします。

学環・学府は一つの学問を究めるだけでなく、例えば教育と工学といったような複数の領域の学問を究めたい人にとって、非常に適した学びの場になることは間違いないと思います。
是非、そのような環境で、自分にとって良いと思える研究・研究者に出会ってもらえたらと思います。
私は特に、水越敏行先生の「発見学習の研究」に出会えたことが印象に残っています。当時の自分の教育観に刺激を与えたと言う点で、水越先生の研究は非常に印象に残っていて、今の自分の活動やビジネスにも生かされています。
例えば、先日立命館大学にて集中講義の講師をさせていただきましたが、そこでのカリキュラムや授業内容を設計する際、今では当たり前になってきていますが、一方的に話すのではなく、学生たち自身に問題を発見させて解決策を考えていくといった、学びがどんどん広がっていくような授業になるように心がけました。

また、山内研を通じて山内研に関わる様々な方々と出会って刺激を受けてもらえたらと思います。
私自身、学府で出会った仲間や、お世話になった先生方と過ごした濃密な2年間が、非常に良い経験となって今の自分に生かされています。今振り返っても、自分が選んだ道は正解だったなと思えるので、是非そのような学生生活を送って下さい。


(※1:ベルリッツ・ジャパン株式会社 http://www.berlitz.co.jp/)
(※2:株式会社ベネッセスタイルケア http://www.benesse-style-care.co.jp/)
(※3:電気自動車普及協議会 APEV https://www.apev.jp/)
(※4:山内研で毎週木曜日15:00~18:00に行われる研究進捗発表のためのゼミ)
(※5:2002年4月に開始された学際情報学府の授業をインターネット上で受講できるeラーニングサイト
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/course.php?id=41)
(※6:第4回インタビューにもご登場いただいた、立命館大学准教授の八重樫文先生)

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今回、インタビューをさせていただいて、椎木さんの社会人としての修士生活がどれだけ充実していたか、また、それがその後の椎木さんご自身の人生に生きているかが非常に伝わってきました。
僕自身も、まだまだ修士としての学生生活が続きますが、「時間」と「出会い」を大切にして、自分の興味に対して感受性を高めながら過ごして行きたいと思いました。

椎木さん、お忙しい中インタビューにご協力いただき、ありがとうございました。

青木 智寛

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