2013.07.05
皆さんこんにちは。山内研必読書紹介シリーズ第5回はM1青木が担当させて頂きます。
私が紹介するのは
デジタル社会のリテラシー「学びのコミュニティ」をデザインする(山内祐平, 岩波書店, 2003)
です。
90年代後半に起こったIT革命以来、世の中は急速に情報化しており、その中で生活する私達にとってあふれる情報といかに向き合っていくかということは、重要な課題になってきます。
そこで、そのような情報を正確に読み取って発信していく能力、すなわちデジタル社会における「リテラシー」をいかに学んでいくかということに対する視座がこの本に記されています。
この本では、まず、デジタル社会に必要なリテラシーを情報リテラシー、メディアリテラシー、技術リテラシーの3つのカテゴリに分類しています。それぞれにおいて、歴史的背景および主張する社会に必要不可欠なリテラシーを説明し、どのようなリテラシーが望まれているのかを整理した後、教育分野、メディア分野における研究からこれらの能力の形成を問い直し、最後には実践例も紹介しています。
構成は以下のようになっています。
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はじめに
第1部 混迷する教育とリテラシー
第1章 あふれる情報に対処するための「リテラシー」:情報リテラシーの系譜
第2章 メディアを読み解くための「リテラシー」:メディアリテラシーの系譜
第3章 情報技術と付き合うための「リテラシー」:技術リテラシーの系譜
第4章 混迷するリテラシーの相互関係
第2部 デジタル社会のリテラシーを問い直す
第5章 教育研究から問い直す
第6章 メディア研究から問い直す
第7章 デジタル社会のリテラシーとは
第3部 「学びのコミュニティ」をデザインする
第8章 学校教育における実践
第9章 ワークショップで学ぶ
第10章 学びが埋め込まれたコミュニティ
あとがき
参考文献
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この本が出版されてから10年近く経過した現在の社会では、ソーシャルメディアが発達しており新たなメディアリテラシーの必要性が問われてはおりますが、その基盤となる考え方を学ぶためにも、本書は意義ある一冊だと思います。
また、個人的な感想ではありますが、中盤から後半にかけての教育やメディアに関する歴史的な研究は私が今後進めていく研究において必要な知見をもたらしてくれると感じています。
デジタルメディアが多様化、重層化してきている現在であるからこそ、本書を読んで今一度そのリテラシーのありかたを考えてみてはいかがでしょうか。
p.s. 学際情報学府の入試の出願が近づいてきています。今年も山内研に数名の方が見学に来てくださいました。いろいろ対策すべき事があると思いますが、着実に取り組んでいただければと思います。応援しています。
【青木智寛】