2013.06.16

【山内研の必読書籍】「授業を変えるー認知心理学のさらなる挑戦」

こんにちは。先週から始まりました山内研の必読書籍シリーズ。
2回目はM2の吉川久美子が担当させていただきます。


今回は「授業を変えるー認知心理学のさらなる挑戦」北大路書房, 2002年
をご紹介させていただきます。


これまで「認知心理学」、「発達心理学」、「神経科学」、「社会心理学」、「文化人類学」、「教育工学」などのあらゆる学問領域から「学習に対する科学的研究」(学習科学)が進められてきました。
ここ30~40年の間に、教師と研究者の共同研究の動き(基礎研究の知見が現場で検証される動き)も活発となり、学習科学は、急速な発展を迎えたとこの書籍では指摘されています。


社会も「現代社会を生き抜くため」の教育目標として、「科学・技術・社会現象・数学・芸術についての創造的思考に必要な知識」の必要性が重要視され、従来のように「単に知識を教える」だけでなく、「考え方の枠組みをみずから創り出すことができ、有意義な問題を自分で見つけ出すことができ、様々な教科の内容を深く理解することを通して生涯にわたって学び続けることのできる自立した学習者の育成」が求められるようになりました。
こうした動向の中で、「認知技能や学習方略の習得を支援すること」は1つの大きな課題となっています。
学習科学は「理解を伴う学習」と「知るという過程」、「能動的学習」をポイントにしながら、この大きな課題に取り組んでいます。


本書では、特に以下の3つの問題に焦点を絞り、4部構成で関連する学習科学の知見が紹介されています。
①人間が学習するということはどういうことか
②「学校教育」のカリキュラムや教授法の開発
③学習者の「潜在的な『学習可能性』をいかに引き出し育む」にはどうすれば良いのか


<本書の構成>
第1部「導入」・・・学習科学の発展の歴史
第2部「学習者と学習」・・・熟達・転移・認知発達・神経科学
第3部「教師と授業」・・・学習環境・教授法・教師の学習・情報教育
第4部「結び」・・・学習科学の現状と課題


学習科学の基礎研究、またその研究の歴史、そしてそれを用いた教育実践の研究が解りやすく紹介されているので、この領域においてこれまでどんな研究が行われ、何が課題となっているのかを掴みたい方にオススメかと思います。


【吉川久美子】

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