2013.06.07
こんにちは!M2の梶浦美咲です。
今週から新テーマ「山内研の必読書籍」が始まります!
山内研究室には、研究室メンバーが読むべき必読書籍が存在し、その必読書籍から毎週一冊ずつ本を紹介していこうと思います。
山内研必読書籍は以下の通り。
※しかし借りられている本もあるので、こちらで全てではないことをご了承下さい。
先日入試説明会がありましたが、そろそろ学際情報学府の受験も迫ってきている、ということで、入試対策としてもこれらの本が参考になるのではないでしょうか。
では早速1冊目、
山内祐平(編著)(2010)「デジタル教材の教育学」東京大学出版会
を紹介したいと思います。
デジタル教材に関する「歴史と思想」「活用と展開」「デザイン論」について体系的に書かれた本で、まさにデジタル教材の教育学、タイトル通りの内容です。
特に教育系のシステム開発をする方にとっては役立ちそうな知見が満載なので、読んでみてはいかがでしょうか。
また、教育システム開発に興味がない方でも、全体的に教育工学で知っておくべき重要そうなキーワードが散りばめられているため、教育工学について学びたい方にもおすすめです。
目次は以下の通り。
【目次】
序章 デジタル教材と教育学
第Ⅰ部 デジタル教材の歴史と思想
第1章 個人差に対応する Computer Assisted Instruction
第2章 学びの文脈を作る マルチメディア教材
第3章 議論の中で学ぶ Computer Supported Collaborative Learning
第Ⅱ部 デジタル教材の活用と展開
第4章 第2言語習得での活用 Computer-Assisted Language Learning
第5章 企業内教育での活用 eラーニング
第6章 学びと遊びの融合 シリアスゲーム
第Ⅲ部 デジタル教材のデザイン論
第7章 デジタル教材を設計する
第8章 デジタル教材を評価する
第9章 デジタル教材の開発1 「親子deサイエンス」
第10章 デジタル教材の開発2 「なりきりEnglish!」
終章 デジタル教材と学びの未来
序章・第Ⅰ部では教育工学における思想の変遷について、第Ⅱ部では活用例、第Ⅲ部では具体的な設計や評価方法などが述べられています。
この本が優れているのは、ただデジタル教材を作るHowTo本に終始しているのではなく、デジタル教材に関する研究的知見が述べられている点です。
近年、ICTを活用した教育が注目され、デジタル教材がますます増える中、あまり研究で得られている成果が参照されず、実社会に活かされていない現状にありました。その結果、過去の研究上で指摘されてきた問題を再度繰り返してしまうことがあるそうです。
その課題を解決するために出された本です。
特にデジタル教材を設計する上で重要な、教育システム開発に広く用いられるインストラクショナルデザインの考え方(ADDIEモデル)、学習意欲を高める教材を作るために参照できる動機づけ理論としてのKellerのARCSモデル、CSCW(Computer Supported Collaborative Work)・CSCL(Computer Supported Collaborative Learning)で活かせるWengerの実践共同体の概念なども説明されています。
デジタル教材を開発する方はもちろん、教育工学における理論などを学びたい方におすすめです!
【梶浦美咲】