2013.05.03

【今年の研究計画】視覚的に理解可能なメタファを用いたWeb学習支援システムの提案

皆さま,はじめまして.

今年度より2年間山内研で修士課程を過ごさせていただくことになりました,修士1年の 青木智寛 と申します.
ひとまず,大学院生活の最初の1ヶ月が過ぎましたが,学びの環境の違いと,得られる知識の多さに非常に刺激を受けている今日このごろです.

では,【今年の研究計画】シリーズの第5回です.
まだどうなるかわからない私の研究計画ですが,現在の暫定的な研究計画をご紹介します.

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視覚的に理解可能なメタファを用いたWeb学習支援システムの提案

《研究の背景となるキーワード》

・自己制御学習と学習方略
近年,学習者が課題達成に向けて学習をする際の,自己制御学習の研究が進められており,これは教育心理学上の主要なテーマでもあります.自己制御学習には種々の定義が存在するが,「学習者が自身の学習目標を設定し,その目標達成に役立つように自身を認知,制御していく能動的で構成的なプロセス」という定義が包括的です.自己制御学習を行う際の学習は,学習方略(=学習の効果を高めることを目指して意図的に行う活動)として知られています.
・CSCL
また,複数の学習者が,コンピュータを用いてネットワーク上にグループを作り,助言や相談をしながら,一つの問題を解決させていくという学びのスタイルは,CSCL(Computer Supported Collaborative Learning)として注目されてきています.
・SNSとGUI
その一方で,近年のICTの発展によって,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が急速に発達し,他者とのコミュニケーションの場をWeb 上につくり上げることが容易になってきています.このようなSNSではコミュニケーションを促進するために,ユーザに直感的な操作を促すGUIの設計が望まれています.

《研究の目的と概要》
このような背景から,Web上に設けられたコミュニティに,学びの場を設けるということは,自然で効果的であると考えられます.そこで私の研究では,直感的に理解可能なメタファを用いたGUIという形で学習者間の学習状況を可視化し,効果的な自己制御学習をWeb上で支援するシステムの開発を行いたいと考えています.
同一の達成目標を有する複数の学習者が,自身の選択した学習方略の妥当性をシステム上のメタファを用いたGUIを用いて確認し,他者との議論や相談を通じて,より効果的な学習方略を再設定していくことで,効率よく目標へ到達できるようになることを目的として行きたいと思います.

《今後の方針》
①関連研究の調査とその問題点の追求
 ・Web上での自己制御学習
 ・学習状況の可視化
 ・(その他)
②効果的なメタファの設定を含むシステム全体の構成決定 + 方法の決定
③実装
④実践
⑤評価


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また,上記の内容に加えて,最近興味のあるキーワードとして,実際の対面形式の授業とWebでの授業を混ぜながら授業を進めていく「ブレンディッド授業」があります.これも現在の研究状況をレビューしながらアイディアの素にしていけたらと考えています.

自分でもこの研究が今後どのように成長していくかわかりませんが,雨風に負けないようにしっかりと根を張り巡らせながら,必要があれば他領域からの肥料を与え,修士論文という立派な樹になるよう育てていきたいと思います.

どうぞよろしくお願いいたします.

青木智寛

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