2013.05.16

【今年の研究計画】途上国の初等教育普及におけるソーシャルメディアの活用に関する研究

本ブログ初登場です。
みなさま、はじめまして。

本年4月より、山内研究室に所属させて頂くことになりましたM1の中村絵里と申します。
よろしくお願いいたします。

【今年の研究計画】
シリーズ第7回目を担当しますが、その前に、4月に入学してからこの1カ月半で感じたことを述べさせて頂きます。

入学直前の3月末まで社会人だった私にとって、仕事と研究の大きな違いに触れたことは、やはり新鮮な驚きでした。

どんな違いかと言うと、成果を出すまでのプロセスが仕事の場合と研究の場合で大きく異なるのです。

これまでの社会人生活(10数年、、、と記しておきます)の中では、日々様々な学びが起こっていました。仕事の場合は、多種多様な学びから得られたいわゆる経験知に基づいて、自由に、創造的に、独自スタイルで、効率的に、成果を上げることが求められ、その成果が最終アウトプットとして認められてきた感があります。

しかしながら、研究の場合、経験はあくまでも個人の経験でしかなく、過去の研究で実証されていないものは、成果を上げるプロセスとしては通用しないという面があります。具体的には、先行研究において実証されているものは、定義や理論として通用しますが、一方で、一人の人間が感じたり見たりしたことは、単なる一事例に過ぎず、それを根底としてロジックを組み立てるのは難しいということです。「これまでの経験を通して暗黙知を得たからそう思った」では通用しない世界です。

社会人として経験したことは、私に沢山の示唆を与えてくれましたが、それらは、ひとまず引き出しの中に畳んでおくこととし、これからは、研究者として、成果を出すためのプロセスを大事にしたいと思います。一年目の今年は、とにかく先行研究にあたることに専念します。先行研究レビューの過程で、時々引き出しを開けて、畳んだものを広げてみる機会があると嬉しいと思います。

前置きが長くなりましたが、本題テーマに入ります。

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■研究テーマ
「途上国の初等教育普及におけるソーシャルメディアの活用に関する研究」

■背景
2000年に策定された国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)では、2015年までに「普遍的な初等教育の達成」を掲げている。過去10年の達成状況を見ると、サハラ以南のアフリカの初等教育就学率が、55%(1999年)→76%(2010年)に上昇(UNICEF世界子供白書2012)したものの未だ目標達成までの道のりは長い。

Millennium Development Goals (MDGs)

目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
目標2:普遍的な初等教育の達成
 すべての子どもたちが、男女の区別なく、初等教育の全課程を修了できるようにする。
目標3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
 できれば2005 年までに、初等・中等教育において、2015 年までにすべての教育レベルで、男女格差を解消する。
目標4:幼児死亡率の引き下げ
目標5:妊産婦の健康状態の改善
目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止
目標7:環境の持続可能性の確保
目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップの構築
(出典:国連広報センターホームページ http://www.unic.or.jp/mdg/goal.html)

MDGsの8つの項目のうち、実に2つの項目が教育に言及していることに着目。

貧困や飢餓の撲滅、乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善、感染症などの予防、環境の持続可能性など、MDGsのもとに取り組まれているさまざまな問題を解決していくには、教育(とくに基礎教育)を通して人々が知識や技能を身につけることが必要(小川ほか,2008)と言われるように、教育はMDGs達成の大きなカギになる。


■長期的観点からの最終的な着地点(希望)
就学適齢期の小学校へ通ったことのない子どもが、男女の別なく、平等に就学の機会を得られるために、教育の重要性を地域社会ひいては政策立案関係者に対して認識させたい。


■目的(検討中)
1つの村、1つのコミュニティで実践されている初等教育普及のための住民参加型プロジェクト(参加型学習行動法:Participatory Learning and Action: PLA)の成果を、類似環境にある異なる村、コミュニティの住民と、ソーシャルメディアを通じて共有し、相互にプロジェクト効果を高め合う。


■今後1年間の研究の進め方(案)

1.先行研究をレビュー
2.問題意識→仮説に導く
3.実践・調査案(国、対象者、実践内容等)を考える

上記までを修士1年目で固める方向で研究を進めたいと思います。
続いて、以下4.~6.へとつなげて行きたいと考えています。

4.実践・調査
5.検証・評価
6.修論執筆

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まだ、1年目がスタートしたばかりで、今後どのように計画を軌道修正して行くことになるのか先が見えない状態です。

どんな道を通ることになっても、上述の最終的な着地点(希望)に寄与することができる研究を行いたいと考えています。

【中村絵里】

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