2013.03.21

【今年を振り返る】外の目を意識して


Y-Lab Blogの【今年を振り返る】シリーズ、今回はD2の伏木田稚子が担当いたします。

2012年度は、良くも悪くも、「外の目」を意識し続けた1年でした。
いつも考えて自分に問いかけていたのは、以下のような(ややネガティブな)視点です。
(A) 自分はほんとうに、外から見ても研究と呼べる取り組みができているのか?
(B) 自分の研究は、外のいろいろなそれと比べて、どこがダメで何が足りないのか?
(C) 外の世界(実践の現場)で役に立つような知見を、生み出そうと努力できているか?
このような「外の目」に関する視点をもつようになったきっかけと、それに対して考えていることを書き並べることで、今年の振り返りにしたいと思います。


■ 研究、できてる?(Aの視点)

今年の2月23日、24日の2日間、京都の立命館大学で第18回FDフォーラムが開かれました。
わたしは2日目の第11分科会「学部ゼミナール運営の課題」で報告者として、これまでの4年間の研究について発表させていただきました。
その準備の過程では、揺らいでしまう研究への自信と、研究成果を社会に還していきたいという信念みたいなものの狭間で、研究することの意義や大切なプロセスをあらためて考えることができました。
教育の実際の場から問題を引き出し、その問題に合う研究方法を駆使して、実践的かつ学術的な意義のある知見を導出する。
そのために、常に自分の中にポケット(=問題意識)を増やし、ポケットに詰めるあれこれ(=先行研究、理論や概念、研究手法など)を蓄えていく必要性を痛感した1年でした。


■ あの人の研究、ほんとうにおもしろい!(Bの視点)

2012年の1月~3月に実施した教員と学生への調査について、データを分析し、結果を論文にまとめる作業をする中で、いろいろな分野の、自分の研究とは直接関係のないテーマの論文をやみくもに読みました。
その中で、読んでいてほんとうにわくわくする論文と出会う瞬間が幾度もありました。
豊潤な研究背景に裏打ちされた斬新な問題意識をもった論文、研究方法がスマートでていねいに結果がまとめられた論文、示唆に富む考察と広がりのある結論がわかりやすく書かれた論文などなど...。
感嘆のため息をつきながら、ときには自分の至らなさにほんとうに悲しくなりながら、どうすれば自分の論文を豊かにできるのか悩み続けました。
そして、すばらしい論文の数々は、自分の研究の弱点を探るための「外の目」として大切だということに気づいた1年でもありました。


■ わたしの研究、役に立つの?(Cの視点)

2012年の10月~12月に、約20名の教員の方々にインタビュー調査をさせていただきました。
ご自身のゼミナール運営の極意や、試行錯誤の重なりについてお話を伺う中で、「この貴重な経験を必ず還元しなければ」という思いに何度も駆られました。
多くの先生方が内に秘めていらっしゃる情熱や、文字にするだけで零れ落ちてしまいそうな運営の深み、類型化するだけではもったいないほどの経験の蓄積を、どうすれば誰かの役に立つ研究成果として返していけるのか。
ひとつには、きちんと論文を書くことがありますが、それだけでは何かが足りないような気もしています。
今もまだ、その足りない部分についての答えは見つかっていませんが、学会やフォーラムなどでのご指摘や、他の研究者の取り組みなどを糧にしながら、わたしにしかできない成果の還元について考えていきたいと思っています。


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来年度は、博士課程最後の大切な1年です。
悔いの残らないよう、自分に妥協することなく歩みを進めていきたいと思います。

伏木田 稚子

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