2013.02.14

【今年を振り返る】激動の1年に感謝!

みなさま、ごきげんよう。修士2年の早川克美です。

気がつけばもう2月。今日はバレンタインデーですね。
同期の4人が修論を執筆し、無事に提出した背中を眩しく眺めながら、
本来であれば一緒に"最後のブログ"だったこの記事を
「来年度もがんばります。」という状況で書いております。

そう、修士課程をもう1年延長させていただくことになりました。
その事情も含めて、今回のテーマ【今年を振り返る】にまいりましょう。

■突然の就職
 私はデザイナーでもある社会人院生ですが、卒業後は、大学教員になることを志望していました。これまで、非常勤講師を足掛け3年務めた際、自分の設計した授業プログラムによって、学生が変化し成長していく過程に遭遇、授業準備からそのプロセスまでがなんとクリエイティブなことだ!と感激しつづけました。そして、これを人生最後の仕事にしたいと思うようになったのです。ただし、いつもながら気づくのが遅い!!年齢的にはかなり厳しい状況です。実務の実績と修士号を合わせても少し足りないかもしれない、そんな不安を抱えていたちょうど1年前、1本の電話でお誘いをいただきました。

「うちの大学で新学科をつくる」
「100% e-learningで行うのであなたの大学院での学びも生かしてほしい」
「領域を横断した新しいデザイン概念で取り組める人を探していた」

なんと、幸運なことでしょう。でも、これは私の実績だけではないと思いました。
山内研究室に在籍したからこそ、このお誘いが現実になったのだとすぐに思いました。大学院に進学した際に、お電話をいただいた方には報告の連絡をしています。
物事とはこうして必然が起きていくのだと一人静かに感激し感謝したものです。
そして、誰よりも先に山内先生にご報告し、ありがたいお言葉をいただきました。

専任に就職したのは「京都造形芸術大学芸術学部 芸術教養学科」です。
2013年4月に開講するための準備室に所属となりました。


■修士研究を3年に...
 というわけで、修士研究、教員、デザイナーの三足の草鞋状態となり、物理的にも精神的にも混乱し、山内先生にご相談し、お許しを得て、あと1年修士を延長させていただくことに至りました。


■正統的周辺参加とコア(中心)になることの狭間で... 
         gap      gap
   デザイナー ... 修士研究  ...  教員
   (中心)   (周辺〜中心へ)  (中心・組織人としては周辺) 

 デザイナーとしての自分は、その世界でコアに存在し実践してきました。前にもここで書きましたが、研究となると全く違う作法とロジックが求められ、外側から徐々に中心に向かっていく参加者となります。そのギャップたるやすさまじく、未だに苦しんでいます。
 また、e-learningについても、ゼミでの他メンバーの研究や、先生のお話、研究室での研究実践...と、「耳学問」と「観察」による周辺参加者です。
 それが、教員となるといきなり、e-learningのコアになることを求められました。山内研で学んだ知識を用いて、学習者にとって学習環境を最適化すること、Hard-Fun な学習プログラムを設計すること、こうした目標を持ってのぞんだものの、現実社会はそう理想通りにはいきません。関わっている様々な立場の思惑、予算、実社会ではあたりまえの障害なのですが、一度大学院に進んだ自分にとっては、今度はこのあたりまえのことが新たなギャップとなって立ちはだかります。大学教員としては新参者ですから、組織というコミュニティにおいては周辺に位置します。これも厄介で(笑)、一度自分の会社を持って自由気ままに活動していた自分にとっては、経験したはずなのにここにもギャップが生まれます。
 全く性質の異なるコミュニティでそれぞれに序列の違う立ち位置で、物事を進めなければならないこと、本来の自分の性格としては面白くて仕方ない場面なのですが、毎日いろんな仮面を付け替えているような心持ちとなり、つい最近まで、かなり苦しかったことを正直に告白します。


■とはいうものの...やりたかったことが実現できる喜びも
 そもそも私はボーダーのない考え方をずっと志向したいと考えて生きてきました。デザインにおいても、領域と領域のすきまを考えていましたし、学際情報学府に進んだのも、人と空間と学びを学際的に考えたかったからなのです。ですから、京都の大学で、新しい学科の立ち上げに参画し、自分の考えるようにカリキュラムを作れる立場をいただけたことは、存外の喜びです。職能で分断されたデザインを、生活者のためのデザインとして再構築すること、これが今の私が目指している新学科でのカリキュラムの一端であります。
年内には教科書を2冊出版します。1冊は同じ研究室の先輩、安斎勇樹さんに非常勤講師になっていただき、一緒に進めています。その他にも、東京大学で出会った魅力的な方々にご協力をいただきながらひとつひとつ丁寧に進めています。大変だけれど幸せです。


■そして修士研究
 まるまる1年、頭の片隅においやってしまった修士研究をスタートさせねばなりません。早くやりたくてワクワクしています。京都の仕事をしていく中で、ゆるやかに自分が研究へと向かえていけるように予感しています。同僚の先生方はほとんどが人文系の研究者なので、そのお話を伺うことも、私にはよい刺激となっているようです。応援もしていただいているので、物理的にはハードですが、やるっきゃない!そのひとことです。
もしかしたら、デザイナーからいきなり修士にのぞんだのはホップ・ステップ・ジャンプのステップの部分が欠落していたのかもしれず、教員になってのこの1年は自分にとっては良い意識のステップだったのかもしれないとも考えています。


■最後に...同期のみんなへ
 私たちは同期5人の女性ばかりのかしましい一団でした。私をのぞいた4人がこの春、新たな世界へと旅立ちます。うやらましくもさみしくもありますが、ずっと何らかのかたちでつながっていくようにも感じています。2年間はあっという間だったけれど、歳の離れた私を関係なく仲間にしてくれて、本当にありがとう!。あなたたちに会えて、一緒に過ごした時間は宝物です。ありがとう。


1年、激動でした。波あり過ぎで、ヘトヘトでしたが、また次の1年、大波を乗り越えた自分で、みなさんにご報告できたらうれしいです。

上がったり下がったり忙しい内容で失礼いたしました。(しかも大長文!)


まだまだ寒い日がつづきますが、春はもうすぐそこに。
みなさま,ご自愛くださいませ.

ではまた.
長文・拙文におつきあいいただきありがとうございました!

早川 克美

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