2013.02.08

【今年を振り返る】好きな気持ちだけで研究はできない

先週、無事に今年修了予定の4人の口頭審査も終わり、修士2年間あっという間だったなぁとしみじみしている山田小百合です。こんにちは。(まだ修了は確定していませんが!)

【今年を振り返る】というテーマですが、昨年はこのテーマでブログを書けなかったため、勝手に2年間をざっくり振り返ろうと思います!

「研究は好きなものじゃないとできない」と言いますが、大学院生となり、「好きな事を(研究)できていいよね!」と言われることが増えました。この領域が好きなのは事実だし、ありがたいことですが、そんな私の修士の2年間は、好きな気持ちを疑いたくなるくらい悔しさでいっぱいでした。私のこの記事のタイトルは、修士2年間を振り返って感じたことです。


本業として、月1回の研究発表、理論や研究方法などを学習したり、論文を読んだりするものの、理解がうまくできないことも多く、焦ることはしばしば。厳しいコメントもたくさんいただき、悔しい気持ちが募ることもありました。頭のなかではわかっているつもりでも、いざ行動に移そうとするとできないことがたくさんあり、そんな自分に嫌気が差すこともありました。また、大学院生は研究だけしているわけではなく、学府の授業のハードさは想像以上で、プレゼンやミーティングが次から次へと舞い込んで来ます。もちろん授業だけでない忙しさもありました。
そんな中、久しく会う友人に「最近何してるの?」と尋ねられるときや、この分野に関心のない人に研究の話をしても、上手にその意義を伝えられてないなぁと反省することもあれば、これまで特別支援教育を専門的に学んだこともなかったので「それであなたに研究ができるわけ?」と言われ、「私が研究をしている意味はあるのだろうか...」と落ち込んだりもしました。
一方、私の場合はNPO法人を立ち上げることを決めたので、(団体設立準備が、修論が書けないという言い訳にはもちろんなりませんが)、「研究モード」と「新しい組織をつくるモード」を切り替えるのになかなか慣れず、経験したことのない2つのことに並行してとりかかる苦しさと向き合ったりもしました。

他にも思い出されることはいろいろあるのですが(笑)、総じて「できないこと・わからないこと」に向き合うことがたくさんありました。想像できないほどにいろんなことにぶつかり、そんな自分が本当に悔しかったし、そんなことがあまりにも続いている(気がする)ので、自信もなくなっていきました。
もちろん、これらは誰かのせいでは決してなく、私がとにかく「やるしかない」ので、ひたすらその時の悔しい自分と向き合い続けているうちに、論文を執筆し始め、あっという間に2年間が終わったような気がします。お恥ずかしい話ですが、好きで大学院に入学したはずなのに、投げ出したくなったり、やめてしまいたいと思ったりもしました。でも、絶対やめたくなかった。


理由はいくつかありますが、悔しい思いをしながら、小さい一歩を感じることはたくさんあり、悔しい気持ちを溜め込んだ後の「できた!わかった!」という気持ちは爽快なものでした。
またこの2年間は、いろいろな大学へ訪問してお話を伺ったり、特別支援学級へ訪問したり、非営利団体の実践を見学したり、いろいろなところへ出向いてきました。私自身も実践研究としてワークショップを子どもたちに行い、たくさんの子どもたち・保護者のみなさんと出会いました。さらに、先日ありがたいお話をいただいて、ニューヨークとメリーランド州に行き、大学や学校、NPOなど6つの場所を訪問させていただきました。研究者、学校の先生、実践家、保護者のみなさん、そして何より子どもたち...2年間多くの人と出会う中、それぞれの立場の人の言葉を聞き、何より子どもたちの姿を見ていると「なんとかしたい!」と思ってしまうのです。

もちろん、好きが高じて研究をしている人が多いと思いますし、私もそうですが、好きな気持ちが折れそうなことは多々あると思うのです。でも、悔しいからこそより真剣に取り組もうとするし、結果より良い研究になるし、より良い研究は多くの人に研究を届くと思うのです。そうは言えども「悔しい」という気持ちに向き合う事って、実はそんなに簡単じゃないなぁと、自分自身を振り返ってみて感じます。まだまだ未熟者だなと痛感させられる2年間でした。


なんだかこうして書くと、楽しかったことはないのか!?と思われそうですが、楽しいコトばっかりでした!でも、こういういろんなことを、自分なりに乗り越え、未熟さを感じながら、総じて「楽しかった!」となっています。
こうした2年間があるのも、多くの方々の支えと励ましのおかげです。研究は好きだけじゃできないし、本当に1人じゃできないなぁと感じています。それにやっぱり自分が好きなものしか研究できないなと改めて感じました。論文を1つの形としてまとめることができたのは、訪問先で出会うみなさま、ワークショップに参加してくださったみなさま、そして研究室のみなさまなど、本当にたくさんの方にお力添えいただいたからだと感じています。厳しいコメントや温かい励ましなど、本当にありがたい2年間でした。


さて、学際情報学府という環境は、複数の領域にまたがるような面白いテーマを扱う場所なので、実践家、研究者、地域のみなさん、学校の先生など...いろんな立場の人に、自分の活動や研究を伝えられないといけないなと感じていますが、それはNPO法人、社会起業家も同じだと思うのです。そういう意味でも、学際情報学府、山内研で学んだこと、経験したことを、NPO法人での活動で活かし、貢献していかねばならないと感じています。

学際情報学府、山内研で2年間を過ごせたことに心から感謝しています。私が山内研究室ブログを書くのもこれが最後となりますが、本当にありがとうございました。そして今後とも、山田小百合とNPO法人Collable(http://www.facebook.com/collable)をどうぞよろしくお願いいたします。

山田小百合

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