2013.01.25

【今年を振り返る】尽善尽美

 みなさま、こんにちは。今週のブログの担当の呉重恩です。
 
 修士論文を提出して、そろそろ日本での留学は終わるところです。過去そしてこの3年間の留学生活を振り返ると、時間の経つのが早いなあ、としか思わないぐらいです。

 ついこの前、修士課程に入学したばかりなのに...
 ついこの前、高校を卒業して、ワクワクな気持ちで大学に入ったのに...
 そして、父に抱っこされていて、幼稚園に連れていかれるのもまるで昨日のことのような気がしています。

 しかし、もうこれで人生の1/4が経ってしまいましたなんて!しかも、果たして無事に百歳までに生きていけるのでしょうか。こう考えると、人生とは、本当にあっとうい間のものですから、こわいです。小さい頃から、父からよく「善を尽くす;美を尽くす、すると悔いのない人生が過ごせる」と吹き込まれていました。その通りに努力していると、確かに毎日楽しく過ごせています。無論、このマヤ暦の予言で言われた人類が滅亡する2012年をも楽しく過ごしてきました。

 学業のほうは、修士段階の研究は無事に一段落つくことです。PBLに興味を持っているといっても、それを模擬した実験活動の経験がなかったから、最初は色々と心配でした。先生とゼミの皆様のお陰で、予備実験も本実験も無事に実施しました。その後の分析もほとんど何も困難なく終わり、ぼんやりしているうちにもう修論そのものを書き上げました。苦しいやつらいやという思いが全くなくて、この研究室に入ってきた当初に書いたブログの「余裕を持って生活する」というのは確実にできています。いや、むしろ楽しいほうです。実験で色んな参加者の方々と出会うこと、そこで人間の行動と座席レイアウトとの間の微妙な関係性を観察すること、評価者と実験後にデイスカッションすること、分析の段階で結果が次々と出てくること、そして論文そのものを書くこと......どれもこれも面白くて楽しいです。完成した論文の質はともかく、形的には1つの研究ができて、しかも楽しく頑張ってきたから、一応物事の「美」を尽くした。

 ところで、楽しく研究しているよ!と主張してばかりいると、きっと色々と嫌がられるでしょう。「結局自分がどれだけすごいってことを見せびらかすために、わざと人前で楽しい楽しいって言っているんじゃない」といわれそうです。確かに100%楽しいわけではなく、苦痛もある1年でした。

 2012年が始まったばかりの1月に、祖母が倒れて、病院に4回も危篤通知に出されました。一応危機を乗り越えたというが、いまでも週5回人工透析を受けています。ずっと可愛がってもらっている孫娘のわたしは、その時にもっとそばにいてあげられなくて、本当に悔しいです――なぜなら、いまの祖母はもう意識混濁で、わたしのこともすっかりわからない状態になっていますから。夏になったら、祖母の看病どころか、自分自身の体調をくずし、慌てて手術を受け、親に大変な心配と迷惑をかけてしまいました。中国は、百善孝為先(善のうち、親孝行が第一)が伝統で、孝行もできてないから、「善」を尽くしたとはいえません。

 このように、半分「尽善尽美」ができたような感じの1年でした。わがままで、気が利かないわたしは、周りの皆様の包容力のお陰で、穏やかで充実な留学生活になりました。これからの毎日も、いままでの毎日と同じようなペースで行きたいと思います。

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