2012.05.18
みなさま、こんにちは。
あっという間に、新緑のきれいな5月も半ばに差しかかりましたね。
【今年の研究計画】シリーズ、今回はD2の伏木田稚子がお送りいたします。
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これまでの研究
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私はこれまで、学部ゼミナールでの学生の学習経験に焦点を当てて、研究を行ってきました。具体的には、学部2、3、4年生を対象に、専門教育の授業科目として成立しているゼミナールについて質問紙調査を実施しました。その結果、(a)発表・議論や教員による指導は、学生の学習意欲や共同体意識の醸成に影響を与えていること、(b)学習意欲や共同体意識は、学生の汎用的技能(問題解決力や対人関係力など)の成長実感に影響を与えていることなどが明らかになっています。
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これからの研究
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背景
ゼミナールの実践は多くの場合、教員個人の「技」に還元して論じられます。現場対応の出たとこ勝負といったブリコラージュの面が強く、方法があるのかどうかも分からない(船曳 2005)という声もしばしば聞かれます。その一方で、誰が担当するかでゼミナールの教育効果(e.g 汎用的技能の成長)には大きな差が生じるという指摘もされています。
ある授業の有効性を検討しようとする場合、学生が得た経験の内容や質だけでなく、教員の指導や教授のあり方に焦点を当てることも重要です。教員の授業過程を評価することには、教員自身が授業過程を評価することに加えて、学習者側の反応を調べることも含まれます。
目的
そこで今年度の研究では、学部2・3・4年生を対象に開かれている専門教育としてのゼミナールについて、①教員による授業構成の実態を明らかにすること、②その上で、授業構成と学生の学びの関係について実証的に検討することを目的とします。
方法
多様化しているゼミナールの実態を広く捉えるために、質問紙調査を方法として採用します。東京都内に本部がある大学の、人文科学・社会科学・総合科学系学部に所属している教員(専任講師以上)と、その教員が担当しているゼミナールの受講学生(2・3・4年生)を質問紙調査の対象とします。
教員用調査票は、「学生の特性把握」、「教育目標・学習目標の設定」、「学習活動(前期・後期)の設定」、「発表・課題に関する指導」などに関する質問項目を中心に作成しました。学生用調査票は、「学習意欲」、「共同体意識」、「汎用的技能の成長実感」、「充実度」に関する質問項目を中心に作成しました。両調査票を用いた質問紙調査は、2012年1月~3月に実施し、回答データの収集を完了しています。
今後の方針
今後は、回答データをもとに分析を行う予定です。最終的には、①授業構成の理論モデルを提案すること、②授業構成が汎用的技能の成長実感に与える影響を検討することを目標にしています。
[伏木田稚子]