2012.03.27

【エッセイ】負の感情の学習への影響

先日、スタンフォード大学の研究チームが、算数が苦手だと感じている子どもたちの脳の働きについて明らかにした研究を出版しました。

この研究によると、算数に強い苦手意識を持つ子どもは、恐怖を感じる脳の部位が活性化し、そのために問題解決に寄与する部位の働きが抑制されているようです。恐怖でパニックになって合理的行動がとれなくなるのと似たような現象だといえるでしょう。

感情は人間にとって原初的機能であり影響も大きいのですが、学習では認知的側面に注目があたりがちで、見逃されることが多いのです。苦手意識が恐怖感のバリエーションであるとすれば、それを取り除く処遇をしなければ、理解を増進させることは難しいでしょう。

逆に言えば、学習環境を構成するときに、学習者が負の感情を持たないようにすることが重要です。できるだけ楽しく学べるようにすることが基本ですが、うまくいかない場合にもしかるのではなく、援助しながら困難を乗り越える楽しみにつなげることがポイントになるでしょう。

山内 祐平

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