2012.02.14

【エッセイ】耳に残る研究計画

研究者にとって秋から冬は次年度の研究計画を立てプレゼンするシーズンです。
職業柄、学生を含め他の研究者の研究計画を聞く機会も増えます。
以前、「人をうならせる研究計画書」というエントリーで、よい研究計画は「おもしろく」て「できるかも」と思わせることが大事だということを書きました。
研究計画書がこの条件を満たしているのに、プレゼンが上手くないため人に伝わらないこともあります。人によって受け止め方は違うと思いますが、個人的な経験則では、

「最初に、研究の意義を、具体的な例を交えながら主張する」プレゼンは耳に残ります。

プレゼンを開始したらできるだけはやいタイミングで、この研究でどれだけすごいことができるのかを主張しましょう。「風邪を引いていてお聞き苦しくてすいません。」など言い訳で始まると注意がそがれます。

研究の意義については、社会的な影響と学術的新規性が考えられますが、社会的な影響であれば誰もが重要であると同意できる問題の解決に寄与すること、学術的新規性の場合は、明らかになったらすごいという夢を持つ話であることを情熱を持って述べることが大事です。重箱の隅をつつくようなことについて「今まで研究されていないからやるのだ」と主張されても興ざめです。研究の価値について話しましょう。

最後に、「具体的な例をあげながら」話すことが肝です。世界を変えるような大風呂敷を広げたとしても、それが抽象的だと説得力がありません。「身近にあるこういう問題が解決されるのです。」「日常にあるこういう現象の認識が変わってしまうのです。」など、専門外の人にもわかる具体的な例をあげると、記憶に残ります。

研究計画のプレゼンは、数年間をかけようと望む場合が多いはずです。内容が評価されないのはともかく、話し方で損をするのは悔いが残るでしょう。自戒も含めてメモとして記してみました。

山内 祐平

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