2011.12.16

【読書感想文】『The Design of Everyday Things』

みなさま、こんにちは。

修士2年の柴田アドリアーナです。
山内研メンバーが日頃どのような本を読み、どのようなことを考えているのかについて紹介するシリーズ【読書感想文】の第2回をお送りいたします。

今回紹介したい本はかなり前に読んだ、ノーマン( Donald A. Norman )の『The Design of Everyday Things』です。(*オリジナルタイトル: The Psychology of Everyday Things)

ノーマンはアメリカの認知科学者で、人間中心設計のアプローチを提示し、ヒューマン・インターフェイスやユーザビリティに多大な貢献を果たした方です。

"I push doors that are meant to be pulled, pull doors that should be pushed, and walk into doors that should be slid."

『The Design of Everyday Things』はこのドアの例をはじめとして、家具や生活環境のデザインをアフォーダンス知覚の点から論じて、"Perceived Affordance" の概念を紹介しています。

"Affordances specify the range of possible activities, but affordances are of little use if they are not visible to the users. Hence, the art of the designer is to ensure that the desired, relevant actions are readily perceivable."

ノーマンがこの本を著したのは1988年であり、書かれている内容の多くは家具やプロダクトデザインに関連されているが、現在使われているタブレットやスマートフォンにデザインするときの基本原理にも応用できると思えます。

人間が物の使い方を間違えたり,使い方をすぐに忘れたりするとき、自分を責めることが多いと思います。しかし、著者によるとその態度は間違いであり、原因は人間の記憶ではなく、その物のデザインにあると論じています。つまり、 使い方の学習に問題を生じたら、デザイナーはその人に合わせてデザインをしなければならないと述べています。彼はこのことを「ユザー中心のデザイン」と呼んでいます。

"Everyday activities are conceptually simple. We should be able to do most things without having to think about what we're doing. The simplicity lies in the nature of the structure of the tasks."

今回、修士研究で開発した教材を実際にブラジル人学校でユーザーテストを実地しました。ユーザーテストを振り返るとこの本のことを思い出し、今回のブログに書くことにしました。

子供たちが実際に教材を使っている要素を観察すると、毎回新しい発見があります。その観察から、教材の使い方や周りからの影響などについて考慮でき、これからの教材の改善に導くと思いますので楽しみです。


参考

・Norman, D. A. (1990). The Design of Everyday Things. New York: Doubleday. (Originally published under the title The Psychology of Everyday Things)
 →日本語版: 誰のためのデザイン? - 認知科学者のデザイン原論

Affordance, Conventions and Design


[柴田アドリアーナ]

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