2011.11.23

【エッセイ】情報化時代の大学と「反転授業」

 1年ほど前から、Twitterで英語の教育系のTweetをチェックしていると"Flipped Classroom"という言葉が頻繁に出てくるようになりました。通常の授業では対面で教師が説明し、発展的な内容を宿題にするケースが多いのですが、"Flipped Classroom"では、講義をeラーニングで宿題にし、発展的議論を教室で行う形式をとっています。"Flip"というのは裏返すという意味なので、日本語に訳すとすれば「反転授業」といったところでしょうか。
 これは情報化時代の大学にぴったりの授業形式です。まず、アメリカ教育省の研究にあるように、eラーニングと対面型授業の併用(ブレンド型学習)は学習時間が確保できるということから効果的であることが明らかになっています。また、Open Course WareiTunes Uを始めとした大学授業映像のアーカイブ化によって、宿題に使えるインターネット上の教育リソースは爆発的に増大しています。 Bill Gatesは昨年「5年以内に最良の大学授業はウェブから来るようになるだろう」と予言していますが、一流大学の最先端の授業を手軽に見れる時代はすでに来ていると言っても過言ではありません。
ただし、多くの人は大学の授業を見るだけで学ぶことは難しいでしょう。実験や議論など、学習者が能動的に参加しなければならない活動は、まだオンラインで実施することはできません。
 そこで、オンラインの講義映像視聴を宿題にして、実験や議論など対面が生きる授業をアクティブラーニングスタジオで行うという形式は、知識習得の面でも思考力育成の面でも合理的な組み合わせです。
 大学だけではありませんが、情報化時代のコミュニケーションサービスは、実空間とオンラインの組み合わせ方が鍵になるでしょう。反転授業はその最初の動きになるかもしれません。

【山内 祐平】

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