2011.09.20

【エッセイ】学会における教育実践報告のフォーマット

9月17日〜19日の3日間にわたって、日本教育工学会第27回全国大会が首都大学東京で開催されました。1,000人を超える参加者が集まり、教育実践の改善について議論が交わされました。今年は新しく学会に来られた方も多く、質疑応答も活発に行われていたのが印象的でした。学会が教育改革を志向する人々のオープンマーケットに変化してきたように感じます。
初等中等・高等教育/ワークショップなど多くの実践について、改善の工夫や実態調査などについて報告されました。ほとんどのセッションで有益な情報共有が行われていたのですが、残念ながら発表者と聴衆の間で齟齬があったケースもあったようです。
私が見た限りでは、実践の様子を時系列に報告するものにその傾向が強かったように思いました。面白い実践も多いだけにもったいないので、学会で報告する際により建設的なやりとりができるためのフォーマットを考えてみました。

実践の社会的背景
その教育実践がなぜ今重要なのか、社会的背景や教育的意義を述べる。
(「研究の背景」に相当)
先行実践と報告の視点
今まで行われてきた類似の実践や自分の過去の実践の中で発見した問題について述べ、解決するための視点について明らかにする。
(「研究の問題と目的」に相当)
実践の概要と明らかになったこと
実践の概要と明らかになったことを、報告の視点に基づいてまとめる。
(「研究の方法と結果」に相当)
今後の課題
実践をすることで見えてきた新たな課題についてまとめる。
(「研究の考察と課題」に相当)

このフォーマットを意識していただければ、論文にするときに問題/目的/方法/結果という研究のスキームに移行するのも楽になると思います。

山内 祐平

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