2011.07.22

【気になる研究者】ジェームズ・ギブソン

みなさま、こんにちは。修士1年の呉重恩です。
【気になる研究者】自分の研究に影響を与えている・もしくは今後学びたいと考えている研究者を紹介する新シリーズ、第5回目をお送りいたします。
今回はジェームズ・ギブソンについてご紹介させていただきます。

ジェームズ・ギブソンについて
James Jerome Gibson(1904年 - 1979年12月11日)はアメリカ合衆国の心理学者です。知覚研究を専門とし、認知心理学とは一線を画した直接知覚説を展開してきました。アフォーダンスの概念を提唱して生態心理学の領域を切り拓いたことで知られています。ゲシュタルト心理学とプラグマティズムの思想から大きな影響を受けました。ギブソンの思想を受け継ぐ心理学者を「ギブソニアン」と呼ぶことがあります。ギブソンはオハイオ州に生まれ、ノースウェスタン大学を経て、プリンストン大学を卒業したのです。プリンストン心理学を専攻し、ゲシュタルト心理学に強い影響を受ける。1950年 に『The Perception of the Visual World』、1966年に『The Senses Considered as Perceptual Systems』を刊行しました。1979年に『The Ecological Approach to Visual Perception』出版しました。

ギブソンの主要な理論:アフォーダンス
アフォーダンス(affordance)とは、環境が動物に対して与える「意味」のことで、生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語 afford からつくりました。この概念は、動物に対する「刺激」という従来の知覚心理学の概念とは異なり、環境に実在する動物がその生活する環境を探索することによって獲得することができる意味・価値であると定義されています。
アフォーダンスを把握するポイント:
・アフォーダンスは事物の客観的な物理的性質でありません
・ある動物・有機体にとっての環境の性質です
・動物が知覚した、主観的なものでもありません
・環境の中に実在し、知覚者にとっての意味合い&情報です

これからの研究について
 自分の研究はキャンパスファニチャーに関する研究ですから、生命体と物的環境との関わりを捉える理論は特に関係性があると考えます。このアフォーダンス理論は、後ほどノーマンに、デザインの認知心理学の研究で、「モノに備わった、ヒトが知覚出来る行為の可能性」という意味でアフォーダンスとして捉えられましたが、これがギブソンが解釈したアフォーダンスの本来の意味の一種の誤解だと言われています。しかし、「行為の可能性」という文脈からユーザーインタフェースやデザインの領域に新しい視点をもたらしたといえます。
 現在研究のため、ファニチャーなどの環境の物的要素が人間の知覚に与える「シグナル」についていろいろと勉強しなければならない時期、ギブソンの理論を空間知覚や環境心理学分野の必読物として勉強しようと思います。Ps:必読物を常に枕のそばに置いて、読みながら夢を見に行き;夢を見ながら、本を読もう~

 <参考文献>
J・J・ギブソン 著 古崎ら共訳 『生態学的視各論―ヒトの知覚世界を探る』 サイエンス社 1985

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