2011.07.02

【気になる研究者】ジム・カミンズ

 みなさま、こんにちは。修士2年の柴田アドリアーナです。

 暑い日が続きますが皆さまお元気でいらっしゃいますでしょうか。

 【気になる研究者】自分の研究に影響を与えている・もしくは今後学びたいと考えている研究者を紹介する新シリーズ、第2回目をお送りいたします。
 今回はジム・カミンズについてご紹介させていただきます。
 よろしくお願いいたします。


> ジム・カミンズについて

ジム・カミンズ - Jim Cummins
・ アイルランド出身
・ アルバータ大学で教育心理学Ph.D.を取得
・ 現在、トロント大学オンタリオ教育大学院(OISE)教授
・ 教育学・言語学・心理学 - 専門はバイリンガリズム、バイリンガル教育

 カミンズは日常生活の言語能力と学校の授業で使う言語能力を2つに区別して、生活言語能力( BICS - Basic Interpersonal Communicative Skills)と学習言語能力( CALP - Cognitive Academic Language Proficiency) と命名しました。バイリンガル教育の理論形成に多大な貢献を果たしました。


> カミンズの理論

相互依存仮説 (Interdependence Hypothesis)
 彼が提案した「言語相互依存仮説」では、母語と第二言語を氷山にたとえ、根底にある共有する能力の存在を強調しています。この仮説によると,母語と第二言語は表面上全く違うもののように見えても,深層部分で共通する言語能力の領域を持っており,二つの言語に共通する言語能力はどちらか一方の言語によって高めることができると示しています。

敷居仮説 (The Threshold Hypothesis)
 カムンズのもう一つ仮説は「敷居仮説」です。この仮説ではバイリンガリズムの型と認知的発達の関係性を示しています。バイリンガルの子どもの認知的発達に阻害されないように、そして、バイリンガリズムの認知的な恩恵を受けるためにはある程度の言語能力の敷居レベルを達成しなければなりません。または、加速な認知的発達を起こすためには第二言語を習得している間に母語を発達し続ける必要があると示しています。


> これからの研究について

 私の研究では、在日ブラジル人の子どもに異文化への気付きを生かした日本語学習教材を提案し、子どもが母国の文化と日本の文化の違いを理解した上で、言葉の意味を学べるようにすることが目的としています。カミンズが指摘されたように、子どもの母語を大事にするべきだと思います。また、彼が社会文化的要因
の影響にも着目していたことにも興味があります。学習者が自分の文化的背景をどのように受けているか、または、誇りをもっているかによって第二言語の習得にも関連すると言われています。
 これから研究で開発したい教材はフォーマルな形で日本語を学ぶ前の段階にいる子どもたちに楽しく日本語と日本の文化を紹介する形にしています。しかし、日本でブラジル人コミュニティーの生活をしているブラジル人児童の生活にこれから積極的に日本人と触れ合うためにベースとなる日本語や日本に関する文化の知識は何でしょう?そして、日本のブラジル人コミュニティーに関するブラジルの文化についてもっと理解しなければならないと気づきました。
 これからは日本におけるマイノリティーの言語学習、特に在日ブラジル人に関するケースの理解を深めながら、適切な教材の開発をできるために頑張って行きたいと思います。

[柴田アドリアーナ]

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