2011.07.14

【気になる研究者】エリク・H・エリクソン

みなさま、こんにちは。修士1年の河田承子です。

【気になる研究者】自分の研究に影響を与えている・もしくは今後学びたいと考えている研究者を紹介する新シリーズ、第4回目をお送りいたします。
今回はエリク・H・エリクソンについてご紹介させていただきます。

エリク・H・エリクソンについて

 エリク・H・エリクソンは1902年生まれのアメリカ人であり、発達心理学者や精神分析家として研究を行ってきた方です。エリクソンは、社会的に達成すべき発達段階という観点から発達を捉えて独自の人格の発達論を完成させました。エリクソンの発達論は、フロイトの発達論が心理性的発達論と呼ばれるのに対して、「心理社会的発達論」と呼ばれることがあります。エリクソンは、人生を8つの段階に分けて、それぞれの段階において「健全・不健全」あるいは「発達の成功・発達の停滞」といった対立する二つの特徴や傾向があるとして、各発達段階には固有の発達論的な危機があると主張しました。エリクソンの自我の発達論である「心理社会的発達論」をまとめると、以下のようになります。

エリク・H・エリクソンの理論

1. 乳児期(基本的信頼 vs 不信)

2. 幼児期前期(自律性 vs 恥・疑惑)

3. 幼児期後期(自主性 vs 罪悪感)

4. 児童期(勤勉性 vs 劣等感)

5. 青年期(アイデンティティvsアイデンティティの拡散)

6. 成人前期(親密 vs 孤立)
7. 成人後期(生産性vs 自己停滞)
8. 老年期(統合性 vs 絶望)



これからの研究について

 私は、親子の発達過程で育児情報がどのように関わってきているのかについて研究を行っています。エリクソンの8つの段階で言うと、1の乳児期と7の成人後期が対象にしたい部分です。親は子育てをしながら精神面でも成長し、ものの見方や考え方が柔軟になっていきます。しかし、これらを発達させるためには生涯にわたる長い時間が必要ですし、広い視野から物事を捉えたりすることが必要です。エリクソンの生涯発達的視点からこれを捉えると、親としての人格的発達は、各時期の心理社会的危機を乗り越えて、アイデンティティ、親密性、生産性、統合感のそれぞれの獲得が発達課題になっていることを示しています。そしてこれらの発達課題を経ながら、親が生涯にわたって親として発達していくかどうかが、親子関係や子どもの発達を左右する(林 2005)と考えられています。この、親と子どもの発達の関わり、という観点を持ち、育児情報と親子の発達の関わりについて研究していきたいと考えております。

 <参考文献>
林昭志(2005).親を生涯発達の観点から捉える心理学的研究の試み 上田女子短期大学紀要,28.11-18.

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