2011.05.29
みなさまはじめまして!
4月から修士課程に入学しました、山田小百合と申します。
【今年の研究計画】シリーズ、今回は、M1の山田がお送りします。
まだ漠然としていることが多いのですが、修士課程で何をしていきたいのかを書いてみようと思います。
*研究テーマ*
学校外における障害児と健常児の交流・共同学習を支援する 学習プログラムの開発
●研究について簡単に言い表してみると
私がしたい研究を簡単に言い表してみると
インクルーシブ教育での試みを学校の授業だけでなく、学校外でも楽しく行える学習プログラムを実施してみたい!
というものです。
ちなみに今回の研究テーマにある「障害児」は主に知的障害・自閉症を対象に考えています。
少し細かい話を次にしていきます。
●ところで「インクルーシブ教育」とは...?
ところでみなさんは、「インクルーシブ教育(Inclusive Education)」という言葉をご存知ですか?簡単に説明すると、人種や国籍、障害の有無など、様々な違いをもった子どもたちが、同じ空間で学ぶ教育のことをいいます。1994(平成6)年6月に、サラマンカ宣言というものが提唱されたことが、「インクルーシブ教育」という言葉を広めるキッカケだと言われています。そしてこの「インクルーシブ教育」は、いわゆる「特別支援教育」の文脈で現在は多く使われるようになりました。
●関心をもつ経緯と研究の背景
*関心経緯
みなさんは特別支援学校(学級)の児童・生徒が自分たちのクラスに時々やってくる「交流学習」の経験はあるでしょうか。ちなみに私の経験を話すと、兄と弟が知的障害者かつ自閉症で、特別支援学校に通っていたので、普通学校(学級)で行われる交流学習を数カ月に1度のペースで行っていましたし、私自身も交流学習を行うクラスにいたこともあります。
その後私は、その交流学習は、「障害児と健常児双方にとって、本来の意味をなしているのか?いい時間を過ごせているのか?良い学びは本当に起こっているのか?」などと考えるようになりました。デザインの仕方によっては、障害児にとってもむしろあまり学びのない経験になるかもしれないし、ストレスがたまってしまうかもしれない。反対に、健常児にとっても、逆に障害者への偏見のキッカケを与えてしまうかもしれません。(ここでは「障害児」「健常児」という表記をさせていただきます。)
*研究背景
特別支援教育に関する研究は、これまで多くされてきました。しかしこうして障害の有無を超えた「インクルード」していく学びの機会に関する研究は特に少ないようです。また、そのような学習プログラムを実施することは、知的障害児・自閉症児を対象とした場合より困難が生じるため、研究事例も数少なくなります。さらに言うと、学校内での授業などの実例は多々あっても、学校外での実施例は格段に少なくなります。それはおそらく、「学校の先生」がいないとそのような場はなりたたないという認識が、どこかであるからなのでは、と仮定しています。
また、障害児は学校と家以外の活動の場所がどうしても限られます。例えば小学生だと、児童館や学童保育などに障害を持つお子さんを預けるなんて、親御さんにとってはハードルの高いことであり、かつ、施設側も受け入れ態勢が整っていない現状があります。中学校だと、普通学級の生徒のほとんどは学校の授業の後、部活動を行っていますよね。しかし特別支援学校(学級)の生徒のほとんどは家に帰るしかない現状があります。社会的経験をつむ場所が、どうしても限られてくると感じるのです。もし学校外での場所でも何かプログラムが実施できるとなると、そのハードルも少しは下がるキッカケになるのでは...と考えています。
●研究の目的
おそらくこの交流学習はインクルーシブ教育の要素があるものだと思います。しかし、学校内ではインクルーシブ教育のような交流学習が行われているにもかかわらず、学校外ではそのような学びをデザインできる場がないのでは、と考えました。
そして欲を言えば、それは障害児だけのための機会でなく、健常児にとっても「おもしろかった!楽しかった!しかも学んだことがあった!」と思える学びの場のデザインだったら、とても素敵なんじゃないかと思ったのです。
つまり...
「障害がある人と、実は思った以上に楽しく一緒に学べるんだ」そして「障害があろうとなかろうと、どんな場所でも学びの機会はあるんだ」と多くの人が感じられる学習環境デザインを生み出してみたい!と思っています。
もちろん、障害児にとってもメリットがあって
健常児にとってもメリットがあって...
そんな学びの場が生まれるきっかけになるような研究ができたら、と思っています。
まだまだ勉強不足ではありますが、有意義な研究になるようがんばります!
[山田小百合]