2011.05.21
みなさまはじめまして。
この4月から山内研で学ばせて頂いております、早川克美と申します。
社会人院生として研究と仕事の2足のわらじを必死に履きこなし、
ワクワクする研究成果を実現したいとの大望をいだいております。
まだ現時点では研究計画としての輪郭が不鮮明な状態のため、
今回は、研究で自分がやっていきたいことの大づかみなイメージと、
今後に向けての課題についてお伝えしたいと思います。
●関心の根っこ
「実務者は多様に実装して問題解決にあたるが、何が機能したのか?についてはわからないままだ。研究は、その何故?の問いに答えをみつけていくことであり、実務と研究は大きく異なる」というゼミでの山内先生のお言葉がありました。まさにその通りで、自分自身が今までデザイナーとして活動してきた中で、その時々の仮説を仮説のまま論に展開しないできたことに、疑問を疑問のままにしたくない!という思いが年々高まり、進学を決意するに至った理由です。
では、どのようなことを解明していきたいのか?
「学びが起こる環境」「行為と空間の関係」「探し発見する活動とは」「場の意味性」
人間が人間であることの根源的な営みとして「学び」という行為が起きるのだと考えています。その「学び」の空間を舞台に、人間ととりまく環境の本質と特質を探っていきたい、ということが私の研究に際しての関心の根っこです。
●ふたつの学びの空間
学びの空間には大きく2つ、そのありかたが異なるものが存在していると考えています。
ひとつは、教室・図書館・ラウンジという人間が実際に滞在する物理的環境、
もうひとつは、e-leaningに代表されるオンライン上の非物理的環境です。
どちらも学びの空間ですが、それぞれ異なるルートで研究が行われています。
そしてこのふたつの環境を語られる際、
文献ではそれぞれに「space」という空間を表す言葉が扱われていることがあります。
この「space」を教育メディアとして再定義して捉えると、学びの契機、学びの経験、学びの継続といった学びの行為を支える要素として比較検証し、相互に有用な知見が導き出せるのではないか?と考えています。
●知りたいこと
関心の根っこを少し具体的に整理すると次のようになります。
「学生が学びの空間を理解し活用していくプロセスが知りたい」
↓
「思考と人工物・情報・空間の相互作用を見つめたい」
↓
「状況〜経験〜価値づけの意識の流れを見つめて、学びの状況の可能性を知りたい」
↓
「学びの空間パターン原則を導き出したい」
●今後に向けての課題
前項までをご覧頂いておわかりのように、まだ興味・関心のレベルであり、すべてが曖昧です。研究というひとつの「問い」に精製する過程をこれから粛々と進める必要があります。そのためには先行レビューを徹底的に行い、私が歩む道筋について可能性を消しつつ、可能性を見つけていかねばなりません。
また、長きにわたった社会人経験で、問題解決とその効果について拙速に出そうとするクセが身についており、問いをよりシンプルに、よりシャープにすることへの難しさに直面しています。ただ、これは先行レビューの徹底によって克服できることなのかもしれません。
人生の折り返し地点をまわったところからの研究活動、
遅すぎるデビューならではの味わいを醸し出したいものです。
生きているといろんなことがありますが(笑)、
山内研という最高の学びの環境を得られた幸運に感謝し大切にしていきたいです。
素晴らしい先達に囲まれながら
より良い研究ができるよう精進してまいりたいと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
拙い記事におつきあいいただきありがとうございます。
【早川克美】