2011.04.05
東日本大震災および福島第一原子力発電所事故に関して様々な情報があふれています。多くの人が奔流のような情報に流されないようにしたいと願っているのではないでしょうか。
2003年に「デジタル社会のリテラシー」という本を書きました。その中では、情報を評価することを重視したリテラシーとして、情報リテラシーとメディアリテラシーをとりあげています。
情報リテラシーでは、情報の出所を確認することや情報発信者の信頼性を評価することが重視されています。また、メディアリテラシーでは、発信者のおかれた社会的状況と発信内容の関係を批判的に読み解く必要性が主張されてきました。
今回のような状況でも、これらの考え方は有用性を失っていません。ただ、情報の流れが速くなってきたために、情報を吟味する時間が少なくなっていることを危惧しています。Twitterで公式RTができるようになってから、その傾向が加速しているように思います。
RTする前に発言者の名前で検索し、発信者が今までどのような立場にたって何を主張してきたのかを調べるだけでも、情報を吟味することにつながります。その際に重要なのは、その情報が嘘か本当かという二分法を捨てることです。この二分法は往々にして思考停止を招きます。ほとんどの情報は、嘘と本当の間にある「発言者にとっての真実」を反映しており、それを読み解くことが情報の評価の要だからです。
RTする前に発言者の名前で検索する文化を広めてください。過去の言動は情報を評価する鍵になります。
[山内 祐平]