2011.03.16

【エッセイ】きちんと生活、しっかり募金

このたびの大規模な地震により被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

地震発生当時、私はCSK株式会社との共同研究発表シンポジウム「子どもワークショップの持続と発展」で話をしていました。すぐおさまるかと思い話を続けていましたが、断続的に地震が続き、大学から建物より外に出るように命令が来ましたので、合格発表の会場前に退避し、安全確認を行った上で解散しました。
その後、交通機関が復旧しなかったため、一部のお客様と帰宅困難になった教職員・学生など約100名が福武ホールで夜を明かすことになりました。福武ホールの運営責任者として食料の手配などを行い、日曜日になって全員帰宅しました。都心の大学には帰宅困難を想定した食料や寝袋などの備蓄が必要だと痛感しました。

あれから6日たちましたが、停電や余震、原発事故などで疲れがピークに近づいているようです。当初は元気だった人も、緊張が続くと疲れてきていらいらするようになります。Twitterでも心配や怒りのTweetが増えてきているようです。

私は阪神大震災の時に宝塚に住んでいましたが、そのときも1週間ぐらいで人々が同じような状態になった記憶があります。最初は非常事態のため気分が高揚しますが、そのペースを長期間維持することはできません。当たり前だと思っていた前提が失われ想定外のことが起き続ける中、被災地の映像に感情移入することによって気分が落ち込むのは人間として自然な反応だと思います。

今必要なのは、少しずつでも足を地につけた日常を取り戻すことではないでしょうか。自分がやるはずだった仕事をゆっくり始め、食事をきちんととり、知り合いと談笑し、娯楽でリラックスする時間を持つこと ー地震がなければあったはずの世界ー を作りなおすことです。

東北地方にいらっしゃる被災者のことを思うと、それが悪いことのように思えるという「気分」はよくわかります。また、原発事故の動向について「不安」があるのは私も同じです。しかし、支援しなければいけない我々が参ってしまっては、長い時間がかかる復興に望むことはできません。

被災地になにかしたいという思いを少しでも形にすることができるのが「募金」です。阪神大震災の時もそうでしたが、インフラの整っていない被災地に専門性のないボランティアが行くことは、かえって現地の状況を悪化させます。また、物資も置き場に困ったり配送できなかったりします。今我々ができる最善の選択は、楽しみながら節約し、それを募金にまわすことです。

「きちんと生活、しっかり募金。」そういう日々を過ごしていきたいと思います。

※さまざまな募金が始まっていますが、日本赤十字社のリンクをあげておきます。
【日本赤十字社】東北関東大震災義援金を受け付けます

※コンビニエンスストアでもレジ横で募金しているところが多いようです。おつりを寄付するだけでも、人数が集まれば大きな金額になります。

※3月17日追記:物資を配給する自治体が消滅しているため、NPO経由の物資送付が必要という情報があります。詳しくはこのページをご覧下さい。

[山内 祐平]

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