2011.02.23

【エッセイ】面接評価の神話

この季節は人事選考や論文審査などで面接の機会が増えます。たくさん面接をしていると、内容と直接関係ない挙動で印象が変わることに気がつきます。

1)部屋への入り方
部屋に入るときに、笑顔で挨拶してきびきび動く人と、緊張した面持ちで小声で話す人では、好感度が変わります。

2)説明
相手が理解しているかどうか確認しながら落ち着いてリズム感よく話す人と、早口で一方的にまくしたてる人では、説明の理解度が違います。

3)やりとり
聞かれたことに短いフレーズで的確に答えてから補足説明する人と、前置きが長く答えも理解しにくい人では、やりとりの充足感に差があります。

人事選考の場合、これらの差を対人能力のあらわれととらえて評価対象にすることもあります。しかし、通常の論文や企画案の審査では、評価指標には入っていません。その場合、審査員は評価指標だけを意識するよう努力することになりますが、実際には無意識のバイアスを消すことは難しいのです。

このような面接やインタビューにおけるバイアスは、様々な研究によって明らかにされています。容姿の影響に関する研究が有名(たとえば人事面接における肥満の影響に関する研究)ですが、容姿以外にも評価指標と関係ない多くの要因が判断に影響することが避けられないのが、面接という方法なのです。

もちろん、対面でやりとりをすることによって得られる情報は多く、面接が評価の有効な方法の一つであることは間違いありません。しかし「会えばわかる」というほど確実な方法でもないということを十分理解した上で、他の評価方法と組み合わせて使うべきものだと思います。

山内 祐平

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