2011.01.04

【エッセイ】2011年の注目ポイント

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

世界的に多極化、流動化が進む中、恒例のメディアによる2011年の予測も心なしか数も少なく、ぱっとしないものが多いように思います。
予測というと難しいので、学習環境まわりで今年個人的に注目していることについてまとめてみます。

1) ソーシャルメディアーワークショップーコミュニティ
ソーシャルメディアとイベントを接続することはUstreamによって一般的になっていますが、今までは会場に足を運ぶほどのコミットメントがない人に対する「周辺参加」の意味合いが強いものでした。今後は、イベントの単発性を補完し、ある期間コミットメントを持続させるための仕組みとして利用する動きが増えてくると考えています。短期的な実践共同体を構築し、連続ワークショップの間をソーシャルメディアでつないでいくイメージです。

2) 電子書籍とソーシャルリーディング
2010年に立ち上がったタブレットと電子書籍は当面プラットフォーム競争が続くことになると思いますが、普及が進むにつれて書籍のシミュレーションを越えようとする動きが様々な形で出てくると考えています。一番はやそうなのはソーシャルリーディングで、読んだ内容を引用しながらソーシャルメディア上でディスカッションするという形式です。大学では試行例がでてくるかもしれません。

3) 学童保育を補完するサービス
幼保統合という大きな動きが続いていますが、その次に注目されそうなのが小学校1年生から3年生の放課後学習環境です。4年生以上になると塾通いが増えてきますが、この層は学童保育以外のサービスがあまりない状態です。個人的には塾の低年齢化よりも、保育の延長となるゆるやかな学びの場を望んでいます。

4) 大学と社会をつなぐプロジェクト
仕分けをきっかけにして大きな議論があった大学の予算の削減は、首相の判断により一転増額になりましたが、再来年度以降については改革の成果によると見た方がよいでしょう。各大学は体制の改革とともに、大学の教育研究を社会と接続していくプロジェクトを進めなければならない状況にあります。これらのプロジェクトは最終的に広報や社会貢献を越えて、新しい大学モデルへとつながる萌芽になるかもしれません。

5) 新興国と日本の間の国際プロジェクト
不況が続く先進国と対照的に、新興国は着々と成長を進めています。今まで国際プロジェクトというと欧米を意識したものが多かったですが、今後はアジアを中心とした新興国と対等のパートナーシップを組む取り組みが増えてくると考えています。メーカーなどの企業では当然のことですが、これが教育界にも広がってくるでしょう。

山内 祐平

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