2010.11.24

【エッセイ】ラーニングコモンズとラーニングセンター

本日、図書館総合展のフォーラムで「大学教育とラーニング・コモンズ -学習支援のあり方について-」という講演をしてまいりました。
(講演はUstreamで録画されており、こちらからご覧になれます。)

この数年、日本の大学図書館でラーニングコモンズの整備が急速に進んでいます。学生の学習区間が確保されるという意味で、そのこと自体は歓迎すべきことです。
ただ、日本のラーニングコモンズは、学習支援よりも空間の整備が先行しているのが現実であり、ラーニングコモンズのいわば「趣旨」である学習支援については十分とはいいがたい状況にあります。

そこでこの講演では、9月末に見学したTexas A&M大学 Student Learning Centerの事例や、全米ラーニングセンター協議会(NCLCA)の動向などから、ラーニングコモンズに導入可能な学習支援について検討しました。ラーニングセンターは、図書館が中心となっているラーニングコモンズの動きに先行してアメリカの多くの大学に設置されている学習支援組織です。

NCLCA前会長のAlan Claigによれば、現状ラーニングセンターの主要なサービスとして以下のようなものがあるそうです。

アカデミックなテスト・評価
学習スキル・学習ストラテジー
チュータリング (ドロップイン・予約)
チーム学習 (e.g. SI, SLA)
電子教材 (CAI)
リメディアル教育コース
教員向けサービス
広報
教材(紙・視聴覚)
スタッフやチューターのトレーニング
情報端末室
他の大学サービスへの接続
相談とカウンセリングのパートナー
障害を持つ学生向けサービス
キャンパス評価
プログラム評価

このリストのほとんどが日本のラーニングコモンズでは手つかずの状態になっています。空間の整備と同時に、ラーニングコモンズを真の意味で学びの拠点にするために、学習支援についても真剣に検討すべき時期にきているように思います。

[山内 祐平]

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