2010.08.11

【エッセイ】Twitterと「よい質問」

現在、BEAT(ベネッセ先端教育技術学講座)で高校生と大学生・社会人をTwitterでつなぐソーシャルラーニングプログラム「Socla(ソクラ)」の実証実験を行っています。

http://blog.beatiii.jp/information/post_18.html

高校生たちは大学生・社会人の人たちのサポートを受けながら、働くことや大学で学ぶことについてWebやTwitterを使って調べています。色々な発見があって興味深いですが、まだプロジェクトの途中なので、結果については落ち着いてから報告したいと思います。

このプロジェクトでは、サポーターが経由する形で一般ユーザーに質問をRetweet(転送)する機会も多いのですが、よいコメントが帰ってくる場合とそうでない場合があります。転送する人の特性や人数にもよるのでしょうが、その差の背景には、質問のよしあしも関係しているようです。答える人に「それは面白い問いだ」と思わせるような質問には、有用なコメントがたくさん帰ってきます。背景がよくわからなかったり、一見しただけでは意味がとりにくい質問にはあまり回答が来ません。

考えてみれば、よい質問をすることはとても難しい活動です。よい質問をするためには、その領域をある程度理解した上で、魅力的かつ本質的な問いをたてる必要があります。また、答えてほしい相手の状況を想像して、その人たちに理解しやすい文章にすることも重要です。さらに、Twitterだと140字という制約の中で表現しなければなりません。

これらのスキルのうち、問いをたてる部分は情報検索と重なっていますが、この活動には狭義の情報リテラシーとしては認識されていなかったコミュニケーションスキルも含まれています。ソーシャルメディアの登場によって、情報リテラシーの位置づけも考え直すべき時期にきているのかもしれません。

よい質問から有用な答えを数多く得られる人たちは、そのやりとりの中で人間関係を広げ、最終的により豊かな社会関係資本を持つことも考えられます。ソーシャルメディアが当たり前になる時代の学習者のことを考えると、「よい質問」ができるようになるための学習支援は、ますます必要になってくるのではないかと思います。

[山内 祐平]

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