2010.07.29

【研究者の仕事術】中原淳 准教授

皆様こんにちは、博士課程1年の大城です。
身近な研究者の仕事術や研究ノウハウを紹介するシリーズ【研究者の仕事術】最終回は、
中原淳先生(東京大学大学総合教育研究センター准教授)へのインタビューをお送りします。

中原先生は、「『大人の学び』を科学する」をテーマに、企業・組織における人々の成長・コミュニケーション・リーダーシップについて精力的に研究されています。

皆様の中にも、東京大学で開催されているLearning Bar(組織学習・組織人材の最先端の話題をあつかう研究者と実務家のための研究会)をご存じの方、あるいは、先生のご著書(近著『ダイアローグ:対話する組織』『リフレクティブ・マネジャー:一流はつねに内省する』)をお読みになったことのある方もいらっしゃるかと思います。

そこで、最終回は、「働く大人」としての中原先生に迫りたいと思います!



■□■□■ 1.情報収集編 ■□■□■


本:「読む」というよりは「拾いに行く」感じ。

【大城】
普段、どのように読書をしていますか?本・論文の選び方、冊数(本数)、読み方などについて、何かご自身で決めているルールなどはありますか?

【中原先生】
本ですか...。まず、「探す」っていうのがあるよね。僕の場合ブログに登録している研究者が300人ぐらいいるので、その人たちが書評を書いているもの、Twitterで呟いているもの、興味関心があるものは、すぐに全部発注する。そうすると1カ月で何十冊にもなる。その中で、まず目次を見て参考文献を読みますよね。そうするとだいたい筆者が何を言いたいかが分かるじゃん?あとは関係あるところをばーっと読む。だから熟読というよりも、関係のある情報をピックアップするように読む。とにかく時間がないからそんな感じですよね。

僕の場合、「経営」と「学習」を両方見ないといけない。すると本の数がすごく膨大になって、とにかく数をこなさないといけない。なので、前にブログでも書いたけど、全部家に置くんですよ。一番リビングの目立つ場所に置かせてもらうわけ。そうすると、カミさんからソーシャルプレッシャーがかかってくる。「早く読め!」と(笑) どんどん積み上がっていくので、それを1冊ずつ減らしていくという感じかな。そういう読み方だから、「読む」というよりは「拾いに行く」「情報をピックアップする」というのに近いですよね。


論文...3か月に1回は研究キーワードで検索して、片っ端から読む。

【中原先生】
論文の場合はシンプル。本の中で出てくるものを読みますよね。あとは3カ月に1回ぐらい、自分の研究のキーワードで検索する。僕は英文雑誌で読むものを決めているので、その中で検索して、片っ端から読む。中にはサマリーしか読まないものもある。やっぱりみんなそうだと思うんだけど、忙しい中でどうやって自分の知識を高めていくのかって、すごく考えなければならなくて、僕が辿りついたのはそういう読み方。だけど、それには当然弊害もあるよね。文系の先生みたいに熟読しないから浅い読み方になってしまう。


ブログ・Twitter...「目利き」の情報を読む。

【大城】
新聞、テレビ、インターネット上の情報収集(ブログ、Twitter)についてはどのように行っていますか?

【中原先生】
まず新聞は、デジタルでしか読まない。見出しだけ読んで関心があれば深く読むけど。テレビはほとんど見ないに近いかな。ニュースぐらいは見るけど。ブログは、本当に見出しだけ、Google Readerで電車の中で見ますね。それで、興味あるものはすぐ発注したりメモしたりする。Twitterは、自分が登録しているのを見ますよね。1次情報はあまり登録していない。目利きの人を何人か登録しておいて、その人の情報を読んでいる。ブログもそれと同じ。目利きのブログをたくさん持っておく。目利きが選ぶ情報は僕と興味関心が同じ人が多いので、最初からソーシャルフィルタリングされたものが入ってくることになる。


通勤時間・家は「個」のinput/outputの場、大学は「協同」のoutputの場

【大城】
電車という話が出てきましたが、移動時間の間には何をされていますか?

【中原先生】
ここ(大学)に来るまでに、とにかく情報を全部インプットしてしまう。逆に言うと、ここに来ると一切それができなくなる。移動時間はTwitterをやっているときもあるし、ブログ、新聞、文献、論文を読んだり...。とにかく常にインプットです。逆に大学に来たら、俺、一日中喋っているよね(笑) ミーティングも授業も打合せも基本的に喋っている。正直、大学に来て本を読んだことはほとんどない。論文を書くのも家。大学は、人と話しながらアイデアを作ったりするけれど、自分のアウトプットを作るのはやっぱり家なんだよね。

【大城】
じゃあ、基本的にインプットもアウトプットも大学以外の場で、ということですか?

【中原先生】
「個」はね。コラボラティブなアウトプットとか授業とか、院生との議論、共同研究者との打合せは全部大学。そこはすごくはっきりしていると思う。



■□■□■ 2.内省編 ■□■□■



奥様、Twitter...自分の思考に対してすぐに反応が得られる場を持つ

【大城】
ブログや『リフレクティブ・マネジャー』でも触れられている「奥様リフレクション」(※1)が興味深いです。「奥様リフレクション」も含め、先生は、一日の間にどれくらい、どんな場所・状況で内省していますか?先生にとっての一番の内省の手段は何ですか?

(※1奥様リフレクション...日々の仕事上の悩みや苦労について、奥様に話すこと。奥様に伝わるように、言葉を選んだり言い直したりしているうちに、自分自身が何かに気づくことがある。あるいは奥様から返ってくる思いもよらない質問が思考のきっかけになることもある。)

【中原先生】
まあ、特に最近だとTwitterとカミさんが大きいかな。どっちも、つまんない話をしたら反応がないんだよ(笑) 例えば、ある研究を始めようとして、その話をした時に「それ何が面白いの?」って返ってくる。すると、「ああ、これは一般のビジネスパーソンには刺さらないんだな」って思うじゃん。Twitterもそうで、呟きがすごく面白かったらすぐにMentionが来る。同じことを呟いたとしても、僕の研究のテーマはビジネスパーソンだから、ビジネスパーソンに刺さるように喋んなきゃならないじゃないですか。それはすごく反応としてすぐにわかるよね。だから、そういうプチ・リフレクションというかPDCAの短いサイクルは、やっぱり部分的に出すことで得られる。


研究に関する思考は"ダダ漏れ"です。

【中原先生】
面白いのはさ、そういう途中のプロセスを出すことは、最初は「そんなことやったらパクられるよ」ってよく言われていたんだけど、面白いものってさ、パクれないんだよね。だってさ、やっぱりその情報を思いつくコンテクストと、そこにある思いがある。「僕はこんな研究します。どうです?面白いでしょ?」って言っても、他人にはわからないんだよね。だから、僕は基本的には自分が面白いと思ったものは全部言っちゃっている。脳味噌ダダ漏れ状態。

【大城】
本当に面白いものはパクれない!ということですね。

【中原先生】
形式知になって流通するものは絶対パクれないと思う。例えば、逆にアナログな場で僕が「こういうこと面白いと思う。ここにはこういうコンテクストがあって。こういう問題があって、こういう人たちに刺さるんじゃないか?」っていうことを、熱っぽく語ったら、パクられるし、パクれると思うんだよね。


僕のブログは、僕が一番検索していると思う。

【大城】
先生は、考えてらっしゃることは全部出しているんですね!

【中原先生】
そう。でもそれはいいこともあってね。カミさんのリフレクション以外、Twitterやブログは、全部形式知・テキストになっているでしょ?全部検索可能なんですよ。だから、僕のブログは僕が一番検索していると思う。Twitterもそうだけど。例えば「ショーン」って入れたら、僕が過去10何年間でショーンについて書いたものが全部出てくるじゃないですか。そういう使い方だよね。やっぱり「書く」というのはリフレクションに重要なんじゃないの?



3か月に1回ぐらいはオフサイトミーティングをやっています。

【大城】
『リフレクティブ・マネジャー』で述べられていた「オフサイトミーティング」(※2)について気になりました。先生ご自身は、オフサイトミーティングやアンプラグドラーニングをどのように実行されていますか?

(※2オフサイトミーティング...目の前の仕事から(物理的にも)距離を置き、普段は考えないような問いに、人々の対話を通じて取り組むこと)

【中原先生】
それは、やっているね。3か月に1回ぐらいかな。共同研究者と行く時もあるし、僕と同年代の若い世代の研究者同士で集まって、本当にネットもコンピュータも使わず、自分がどういうこと今後やっていきたいのか?を考える。

この間やったのは、「このままやったら自分が10年後何を成し遂げているか」というテーマ。ワークショップみたいだよね。その時は、僕自身が発表した後に、「10年後に中原は何を成し遂げていると思っているか?」って他の人が勝手に予想するわけ。それをやると、「あー、あながち間違ってない方向に皆に思われているんだなぁ」とか、逆に「強烈な誤解がここにあるんだな」って思う時もある。あとは、意外と勇気づけられちゃったりしてね。その時すごく印象に残っているのは、後輩に当たる大学の先生に、「あんたのコアコンピテンシーは人を巻き込むことと、コツコツやることなんだ。だから今まで通りやればいいんだ。」って言われたこと。「急がなきゃ!早く成し遂げなきゃ!」って僕自身は思うんですよ。それが意外に俺の中では刺さった言葉だった。


フィードバックをくれる他者を、自分の周りにどうデザインするか。

【中原先生】
去年、エグゼクティブコーチにご支援いただいていたことがあって。コーチというのは、目標達成のための、話を聞いてくれる外部の人ね。ある会社の好意で付けていただいたことがあって、それは本当に部外の人、つまり研究者じゃなかった。すると、大学以外の人からの僕の「見え」がわかってすごく良かったな。結局、去年1年間で僕は生産性が上がったんですけど、「それは今やらなきゃだめなんだな」とか、そういうコーチとの対話が良かったのかもしれない。

【大城】
それはコーチの方と定期的に会って...ということですか?

【中原先生】
本当は2週間に1回ぐらいなんだけど、忙しいので3週間に1回か、1カ月に1回になる。それは良かったかもしれないです。今、研究の基盤になっていることとか、自分の研究をまとめようと思ったのも、コーチの人との対話で気づいた。だから、他者をどう持つか、自分に助言・指導・フィードバックをくれる他者を自分の周りにどうデザインするかということだと思うんです。だから、それはすごく意識的にやっていますね。だってそれが自分のセオリーそのものだからさ!そうじゃないと説得力ないしね(笑)


「人は無能になるまで成長する」...それを止めたい!

【中原先生】
よく「人は無能になるまで成長する」っていう言い方があって、人はどんどん仕事すると無能になっていくんですよ。だんだん自分が見えなくなったり自分の仕事の意義が分からなくなったりするじゃん。で、管理職とかだんだん地位も上がっていくと、自分にフィードバックする人がいなくなるじゃない?すると「無能になるまで成長する」という皮肉な状態になる。いつかは自分だってそうなるかもしれないけど、今年で35だし、なるべく止めたいなぁ、みたいな(笑)



■□■□■ 3.Learning Barの裏側編 ■□■□■


9月のLeaning Barを企画するのは5月末です。

【大城】
『リフレクティブ・マネジャー』の中で、「講演は、依頼したり依頼されたりするものではなく、依頼する人と依頼される人がパートナーシップを結んでともにつくりあげるものではないか」と述べられていたのが印象的でした。先生が講演を依頼する際に、講演の趣旨や投げかけたい問い、どんな場づくりにしたいかといったコンセプトを共有してコラボレーションを進めるという作業は、具体的にはどうやって行っているのですか?

【中原先生】
9月のLearning Barを企画するのは5月末ですよね。4か月前だから、普通の講演に比べると、まあまあ長い。で、やっぱり「今一番この人に語って欲しい」とかいろんな伝えたい要素があるじゃん。その中で、僕はオーディエンスについてよく分かっている。相手がコンテンツのエキスパートだとすれば、それを上手く合わせて最高のプログラムにするにはどうすればいいかってことは考えますよね。だいたい2、3回は会うかな。「私は依頼されているんだか、仕事されているんだかよくわかりません」って言われる(笑) 依頼されたってことは、普通は「先生、好きにばーんと喋ってください。」というスタンスじゃん。僕は違うからさ。逆に言うと、そういうことを言っても怒らない人を選んでいると思う。

【大城】
そうやって3回ゲストの方と会っている時に、何をされるのですか?

【中原先生】
一緒に「どういう場にしましょうか?」って考える。大抵そういう人は、既存のプレゼンを持っているよね。たとえば、最初は、酒井さんの(Learning Bar ※3)は、ケーススタディは入っていなかったけど、酒井さんの持ち味を出すにはケーススタディをやってほしいと思った。それは酒井さんのプラスにもなるし、Learning Barをやっている僕にとってもある種の挑戦だなって。それで何度かお願いして、こうなったらどうだ、ああなったらどうだというのをやりとりした。

自分が講演依頼を受けるパターンもありますよね。僕、基本的に月にたぶん1,2回しか受けないんですよ。その時にも、そういうことをやっている人とやりたい。「中原さん、好きにどーんと喋って。」とか「書籍の内容をちょろっと喋って。」って言われたら、大激怒するよね。だからほとんどお断りしています。だってそれが仕事じゃないもんね。
(※3 2010年5月20日Learning Bar「ケーススタディで新たな人材開発戦略を構想する」ゲスト:酒井穣氏(フリービット株式会社)



■□■□■ 4.研究テーマ編 ■□■□■


「大人の学び」に行こうと思った時は、協調学習は全て捨てたと思っていた。

【大城】
最後は、ちょっと仕事術から離れますが、研究テーマについて伺います。『リフレクティブ・マネジャー』の「あとがきという名のリフレクション」も大変興味深かったです。そこでは、学部・大学院の頃から協調学習の研究に取り組まれてきた先生が、メディア教育開発センター(現・放送大学)、MITを経て東京大学に赴任された時に、現在の「『大人の学び』を科学する」というテーマを選択されたことが書かれています。「協調学習」と「働く大人の学び」はつながっているとしても、やはり研究テーマとしてはかなり大きな転換に見えます。現在の研究テーマを選択された動機について詳しく教えてください。

【中原先生】
そこ(『リフレクティブ・マネジャー』)にも書いたけど、「協調学習」っていう状態って、あえてそういうラベルを貼らなくても、もう皆やるようになっているじゃん。Twitterでの情報交換も「協調学習じゃないか?」っていうと、協調学習だよね。あの頃2003年でしょ?ある種、ネットを使って協調学習するのがインフラとして「来る」だろうなって。それが研究として成立しにくくなるだろうな、というのはすごく思いましたよね。あともう1個は、せっかく大学に来るんだから、最終的に研究者がやるべきことって、自分の分野を作るってことじゃないの?俺はそう思ったから、「それは何かな?」って。

で、正直に話すと、今は結局そうなっているけれど、「大人の学び」に行こうと思った時は、協調学習は全て捨てたと思っていた。ゼロだと思っていた。で、本当に信用ゼロ、ラポールゼロ、知識もゼロのところから、少しずつ、少しずつ、周りの人や企業の人の信頼を得てやっていく。でもさ、不思議なことに、俺が思う「大人の学び」の面白いものって、協調学習なんだよね。他者に支援された学習とか、他者に促される内省とか...結局「他者」というのが自分にとってすごく大きいんですよ。


『職場学習論』は「他者に媒介された大人の学び」の本です。

【中原先生】
自分の学習観が、一人で学習するっていうのをあまり信じていないんだよね。僕の話をずっと聞いていてわかったと思うけど、結局、俺、人を利用して学んでいるじゃん?呟いて、誰かに投げかけてそのレスポンスを以て自己を補正する、ということを意識的にやっちゃっているでしょ?まあ、そういう人間なんですよ、もともと。自分一人だけでコツコツ、というのはあまり得意じゃない。人を巻き込んだり、人に助けたりしてもらいながら自分を駆動させるっていうか。

だからなんだろうね。7年前に、「大人の学びだ!」って言ったときは、完全に捨てたと思っていたけど、結局そういう学習が自分の描きたい学習なんだって気づいて、ようやく今年本出ますけど、『職場学習論』っていうのは「他者に媒介された大人の学び」の本なんですよ。だからなんか笑っちゃうよね。「また来たかー」っていう。他者に支援された、他者のコミュニケーションに媒介された働く大人の学びの本になっちゃっているんですよ。自分の中で、「他者」と言うキーワードは捨てられないですね。


「他者」というキーワードの原点

【大城】
つながっているんですね。

【中原先生】
捨てたつもりだったんだけど、DNAレベルっていうか。たぶん初めての薫陶を受けた先生との中で作られる学習観とか研究観ってすごいと思うよ。俺の場合は佐伯さん(※佐伯胖 東京大学名誉教授)だったから。佐伯さんが当時言っていた「他者」とか、他者に媒介されたヴィゴツキー的な学び、共同体の中での学びとか。要は、学習を個体に閉じたもの、還元主義的に捉えないじゃないですか。その薫陶を最初に受けて学問シャワーを浴びているので、なかなか変われないよね。変わるべきでもないのかもしれないと思う。



食わず嫌いするな!

【大城】
最後に、研究テーマを模索中の学部生・大学院生に向けて、テーマの選び方や情報収集の仕方についてアドバイスをください。

【中原先生】
学部生だったら話は早くて、それは好き嫌いをせずに全部勉強してくださいということじゃないの?そうすれば好きなことも嫌なこともわかるでしょ。例えば、俺は法律や経済学の本を読んでもさっぱり頭に入らなかった。こんなに本好きなのに!入んないものは入んない。それはさ、「俺は好きじゃないんだ」、好きじゃないというよりは「俺がやるべきことじゃない」って分かる。でもさ、そういう食わず嫌いをせずに食べるっていう経験がないと、好きなものが分からないと思うんだよ。だからとにかく1,2年の頃は本をたくさん読むってことだと思うし、好き嫌いをせずに勉強すること。


「絶対に自分で問題を抱えるな。」&「ギブギブギブギブテイク」

【中原先生】
大学院生の場合はテーマが決まっているでしょ。院生ね...。なにで困ってるの、みんな?僕の研究室のマネージメントのやり方がすごく共同体を重視するわけですよ。だから「お互いに助け合うことが重要ですよ」って言っている。「絶対に自分で問題を抱えるな」って言うね。

【大城】
それは、問題を抱えないで、助け合うということですか?

【中原先生】
まず自分で問題を持っているわけだよね。で、必ず行き詰るじゃん。自分で問題を持っていて、抱えすぎるとなかなか進まないから「色々言ってくれる人を自分の周りにたくさん作りなさい」って言っている。逆に言うと、そこに関係論的なメリットが成立しないと誰も助けてくれないでしょ?だから「どんどんギブしなさい」「ギブギブギブギブテイク」っていつも言っている。自分で問題がない人は大変だけど、大体ここの院(学際情報学府)の場合は、大抵、解決したい問題をみんな持って来ているよね。



■□■□■ 5.鞄の中身を見せてください! ■□■□■

【大城】
では最後に、先生の今日の鞄の中身で、いつも持ち歩いているものを見せてください。

shigotojutsu.JPG
(鞄の中身)iPhone、データ通信カード、ICレコーダー、MacBook Pro、本3冊

【大城】
ICレコーダーはなぜ持ち歩いているのですか?

【中原先生】
仕事柄、企業の人と喋っていることは多い。で、たまたまそこに居合わせた誰かが重要なインフォーマントだったり、たまたま面白いことを喋ったりするじゃん。そういう時に「ちょっといいですかー!」って、ぱって置くわけ。もちろんその時メモもする。本に書く時などに、細かいところは、こっち(ICレコーダー)から引っ張る。常に持ち歩いている。

【大城】
まさに、先生のお仕事道具ですね。先生、本日はありがとうございました。

<2010年6月14日、福武ホール1階・学環コモンズにて>


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編集後記

「目利き」を集める、キーワード検索で片っ端から全てチェックする...日々の仕事の隙間を縫って貪欲に情報を集め、インプットしている中原先生の頭の中は、全部「ダダ漏れ」とのこと。テキストの形でダダ漏れにすることによって、自分の頭の中を検索可能なデータベースにし、内省に利用している先生。「僕のブログは、僕が一番検索していると思う。」という言葉が印象的でした。

そして、毎日お忙しい先生でも、オフサイトミーティングの機会を意識的に定期的に作られているのに驚きました。その現場をちょっと見てみたいと思いましたが、ネットもパソコンもなければ、Ustream中継はそもそも無理でしたね。残念!(笑)

情報収集も、ダダ漏れも、オフサイトミーティングも、全て「自分にフィードバックをくれる他者を、自分の周りにどうデザインするか」という先生の学習観・研究観のもとに行われていることがよく分かりました。

院生である自分も、「ギブギブギブギブテイク」を肝に銘じようと思います。自分の周りに、自分を助けてくれる誰かにいてもらえるように。

中原先生、お忙しい中、貴重なお話をどうもありがとうございました。

【大城 明緒】

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