2010.07.14

【エッセイ】共同体の孵卵器としてのラーニングコモンズ

そろそろ夏学期も終わりを迎え、最終回になる授業もでてきています。協調学習やグループ学習をする授業では、独特の連帯感が生まれます。その後飲み会をしたり、別の機会に再会すると、長期間続く人間関係を得る学生も多くあらわれます。
大学における人間関係は社会関係資本の礎であり、新たな共同体が生まれるきっかけにもなります。
今まで大学の授業は、授業時間中にどれだけ成果があがるかという観点で学習活動が構成されてきました。しかし、大学の持つポテンシャルを活かすためには、授業で培われた人間関係を新しい実践共同体 (Communities of Practice)につなげるという視点から考えることも重要です。
授業の同じグループで関心を共有した学生が、その問題意識をもとに研究会や社会的活動につなげるプロセスを支援することにより、学習が埋め込まれた実践共同体の誕生を支えることができます。
最近図書館を中心にラーニングコモンズの設置が相次いでいます。そこで行われる学習支援が、授業の課題サポートにとどまらず、授業から生まれた人間関係が新しい実践共同体の誕生につながる孵卵器の役割を果たすようになれば、大学は生き生きとした自主的な活動の場に変わるでしょう。

[山内 祐平]

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