2010.05.28

【今年の研究計画】講義内容の理解を促進するデジタル・バックチャネルの利用方法の提案と評価

皆様、こんにちは。【今年の研究計画】シリーズ、今週はD1大城が担当させていただきます。

突然ですが、セミナーやイベントでTwitterを使ったことはありませんか?プレゼンテーションの内容を実況したり、プレゼンテーションと関係のある情報が載っているサイトのURLにリンクを貼ったりした経験がある方、あるいはフォローしている人がそのようなツイートをポストしているのを見かけたことがある方はいらっしゃるのではないかと思います。

これまでは、プレゼンターが話をしている間、オーディエンスは一方的に黙って聞くことしかできませんでした。それが、Twitter等のバックチャネル・ツールの登場によって、プレゼンテーションの間も情報交換し、議論を戦わせることが可能になったことは注目に値します。しかし、実況することやリンクを貼ることが、プレゼンテーションの内容の理解にどれほどつながっているかはよくわかっていません。

プレゼンテーションの内容の理解が問題になるのは、特にそれが教育的な性質を持つ場合、すなわち授業である場合です。企業の商品発表のプレゼンテーションや、テレビ番組の実況中継を行う場合には、その内容を細かく理解する必要はないかもしれませんが、授業ではそうはいきません。

そこで出てくるのがノートテイキングです。授業中にノートテイキングを行い、それを後から見直した場合、ノートテイキングを行い、それを見直さなかった場合よりも、講義内容の再生(講義で明示される内容の想起)と統合(講義で明示されない内容の推測)の両方が促進されることが示されています(Kiewra et al. 1991)。

バックチャネルという新しい形のコミュニケーションを、ノートテイキングを手がかりにして、授業内容の理解に結び付ける方法を目指し、今年度も研究を進めていきたいと思います。

(参考文献)
Kiewra, K. A., DuBois, N. F., Christian, D., McShane, A., Meyerhoffer, M., & Roskelley, D. (1991). Note-taking functions and techniques. Journal of Educational Psychology, 83(2): 240-245.

[大城 明緒]

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