2010.04.19

【今年の研究計画】第二言語習得を目的とした効果的協調学習の支援法に関する研究

みなさま、こんにちは。

【今年の研究計画】シリーズ、今週はM2の程琳からお送りさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。

■研究テーマ
第二言語習得を目的とした効果的協調学習の支援法に関する研究
―日中学習者混在のグループランゲージエクスチェンジ活動としてのマンガストーリーテリングの分析を通して―

■なぜランゲージエクスチェンジか?
異なる母語の人たちがお互いに自分の母語を教えあい、そして、代わりに相手から向こうの母語を教えてもらうことがランゲージエクスチェンジという。簡単に言語交換と理解している人も少なくない。
ランゲージエクスチェンジのよさとして、「ネイティブスピーカーとの練習」、「異文化の発見」、「パートナーとの趣味や興味の共有」、「語学教室では不可能なスラングや口語体の学習」、「語彙や文法に関する質問を母語話者に直接質問」などが利用者に実感されている。

■ランゲージエクスチェンジの現況
実際に、オンライン資源が急激に豊富かつ利用自在になりつつある現在においては、ランゲージエクスチェンジのためのソフトウェアが理論をずっと先を歩んでいるのである。
ランゲージエクスチェンジのためのオンラインコミュニティと言えば、SharedTalkや、InterSpeakers、Livemochaなどがたくさん挙げられる。 それらが愛用されている共通理由として、以下の三点がまとめられる。
1. 自分が習おうとしている目的言語の母語話者と簡単に連絡取れること。(基本は単純文字チャットから、音声チャット、動画チャットまでマルチメディア環境として利用可能。)
2. 無料で誰でも加入できるオープン式。しかも、交流している相手も一人特定と言うわけではなく、一対一から一対多数の形態とグループワークの学習形態が共存している。
3. ある程度の学習資源を共有できること。グループ内での共有作文や共有チャット記録、それから、サーバーが提供してくれるニュースなどが利用できる。

■なぜランゲージエクスチェンジと漫画ストーリーテリングを結びつけるのか?
実際にランゲージエクスチェンジを愛用している学習者層を見れば分かる話だが、ある程度話ができるまでにならないと、目標言語の母語話者とパートナーになっても自由自在な会話どころではなく、意思疎通すら無理なのがネックである。
そして、外国語を学習して、途中で諦めてしまう人の多くは、その初心者から中級者への段階で挫折したわけである。
中級段階へのネックを乗り越えるための支援法として、ただ母語話者と母語資源に恵まれればよいのでは足りないならば、なにか異なる言語の両者ともに理解できるうえでロジックを立てやすくさせられる学習法はないかというところに、ストーリーテリングが紹介された。
また、学術的に、第二言語習得法指導法としては、インプットが十分なアウトプットを支えきれない際に、カードや絵、文章要約フォームなどの情報補助により、学習者のアウトプットとインプットがともに効果的に上達すると分かっている。
しかし、こういうインプット補助としてのカリキュラムは教育側としての先生役が利用する場合が多く、ランゲージエクスチェンジにはまだ導入されていない。加えて、学習者同士によるコミュニケーションとしては、お互いに外国語が難しいこともあるため、有効に利用される支援法が期待されている。

■日中学習者混在のグループランゲージエクスチェンジ活動としてのマンガストーリーテリング
そこで私が目を向けたいのは・・・
おとぎ話や童話、ディズニー物語のような世界中の人に共通認識の持ちやすい絵本をテキストにし、日本人と中国人(個人的に私の母語が中国だから、笑)からなるランゲージエクスチェンジグループで行われるストーリーテリング活動である。
英語学習にストーリープロジェクトが前から活用されてきているが、ランゲージエクスチェンジの支援法として有効に生かせる要因を自分の研究により明らかにしていきたい。

■今後の課題
初級レベルの学習者同士による協調学習の支援法として、この研究の目的を設定しているが、言語学習に生かされているストーリー支援研究を参照しながら、まだまだ活動案を具体化する必要がある。
それから、ストーリーの完成度を評価する方法、分析方法を含めて今度の努力が必要である。
言葉による壁をこの研究を通して、少しでも薄くできたら嬉しい。そのために、一生懸命がんばります!

【程 琳】

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