2010.04.08
みなさまこんにちは。
【今年の研究計画】シリーズ、今週はM2の帯刀菜奈がお送りします。
■テーマ
歴史的共感の獲得を支援するデジタルストーリーテリング(DST)に関する研究
■日本史学習の現在
中学・高等学校の日本史の授業。
いま、暗記重視の「記憶する歴史」から、生徒が自分から問いかけができる「考える歴史」表現する歴史への転換が必要とされています。
■「なぜ?」が生まれる学習で、歴史を「考える」チカラをつける
考えるとは「(歴史上の出来事や人物の行動は)どうしてそういうことになったのか」を追求する作業を通して行われます。このとき「なぜ?」と疑問を持って考えることを「歴史的共感」といいます。
ただ暗記するのではなく「それで、自分はどう考えるのか」と解釈(評価・判断)考察して、自分なりに歴史を物語ることが求められます。
つまり歴史的共感がアップすると、
歴史を見るための視点が養われるので、
歴史を考える力がつくというわけです。
歴史的共感と、考え・表現する授業の実装は密接な関係にあるのです。
■歴史的共感を獲得するために過去の人物になりきってデジタルストーリーテリングする
そこで提案したいのが・・・
特殊な訓練や技能がなくても、そこに何が描かれているかが一応視覚的にわかる絵画史料を素材として、そこに描かれている人物のストーリーをテリング(物語る)する作品作りをしようという体験的学習プログラムです。
DST 化するために生徒は①テーマ②特徴③興味を軸に主人公を設定します。
主人公の時代背景を調べ、一人称かつ現在時制を用いた
「なりきり」脚本を書き、イメージ画像をデジタル作成します。
「なりきる」ためにはその主人公の服装、身分や生活環境など様々な「なぜ?」「どうなの?」を調べなければなりません。ここに歴史的共感がアップするポイントがあるのです。
■デジタルだからできる「なりきりコメント」のつけあい
ストーリーテリングするならアナログでいいじゃないって?
生徒の作ったものがデジタルの作品であれば、これをweb にup することができます。
作品をもとに、他の役になりきった生徒とロールプレイや意見交換をしたら、単なる調べ学習からもう一歩歴史的共感が高まるの活動になるのではないでしょうか。
自分が調べた主人公になりきって、他の生徒にコメントをつけるには相手に対する「なぜ?」「どうなの?」という視点が必要だからです。
■今後の課題
活動を行った後に、ペーパーテストで合理的理解が出来ているかといった歴史的共感獲得に関する評価を行うことを考えていますが、検討中。
活動内容の具体化と、評価方法、実装計画をあわせて練っていきます。
活動してちょっと幸せ
活動したら栄養になる
そんな
おいしい研究 になるように
がんばります。
【帯刀 菜奈】