2010.04.06

【エッセイ】金沢大学ラーニングコモンズと研究の環流

金沢大学ラーニングコモンズが、4月6日にオープンしました。このラーニングコモンズは、既存の図書館を改装し、本をきっかけとした学びを支援することを目指しています。このラーニングコモンズのコンセプトワークやデザインに関して、丸善株式会社と私が代表理事を務めるNPO法人 Educe Technologiesが共同で作業を行いました。金沢大学の山田先生をはじめ、お世話になった図書館の方々にお礼申し上げます。

ここ数年駒場アクティブラーニングスタジオ学環コモンズなど、新しい学習空間に関する研究を行っています。その中で研究的に切り出せる知見は、論文や著書(学びの空間が大学を変える:5月刊行予定)の形で公表していきますが、この種のデザインがともなう実践的研究活動では、研究的に切り出しにくい事例に付随した文脈依存情報がたくさん生み出されます。
今まで、このような情報は活用されず研究室の中に埋もれていました。今回の仕事は、NPO法人のコンサルティングという形で、研究活動の中で生み出された知見を活かして未来の学習環境を作っていく試みのひとつです。
研究活動で生み出される知見を「論文や著書」の形で公表していくことは研究者の当然の仕事ですが、研究の領域によっては、それに加えてワークショップ・カフェ・オープンソースソフトウェア・有料サービス・コンサルティングなど、多様な形に展開することができます。論文や著書を書くことにプラスして大学と社会の間に環流を作っていく、そういう研究者が今後必要になってくるのではないかと考えています。

[山内 祐平]

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