2010.04.20

【エッセイ】iPadの衝撃

先日、特任研究員の久松さんが並行輸入で購入されたiPadをさわらせてもらいました。
想像以上によくできたインターフェイスで、複数の指で操作する自然さに衝撃を受けました。iPhoneは持っているのですが、指の動かせるエリアが広くなるだけで、経験的にはほとんど別物になります。iPhoneに戻ると、指が押し込められて不快に感じられるほどです。
また、画面が非常に美しく、内蔵スピーカーのクオリティが高いことも特筆すべき点です。映像を見ていると、ポータブルテレビに近い感覚です。ウェブやマルチメディアビューアとしては完成度が高いものだと思います。
画面上のキーボードは慣れが必要ではありますが、長文でなければ入力に困ることはないでしょう。オフィスソフトであるPages,Numbers,Keynoteも販売されますので、今後の教育利用端末の最有力候補のひとつになることは間違いないでしょう。

すでに、教育利用に関係していくつかのニュースが入ってきています。

米国の3大学が『iPad』を無料で配布、1万冊の大学教科書を読めるサービスが開始。
マルチメディア元素ガイド"The Elements"の発売。

今後、様々な領域で教育利用の実験が進むでしょう。基本的には教育や学習の過程を改善する試みは望ましいことだと考えていますが、すぐに多くの大学が配布する状況にはならないと予想しています。

1) iPad本体は安い(約5万円)のですが、管理をするために別途Macが必要になります。セットにして配布すると20万円近くになり、大学側で管理するためには人的コストがかかります。

2) 電子教科書の流通は始まったばかりで、まだどの教科書でも選べるという状況ではありません。(日本では流通の仕組みすらありません。)

3) 教員側の準備が整っていません。学生がPCでノートをとったり、教科書を見るところまでは対応可能だと思いますが、それ以上の付加価値を出そうとすると授業のやり方を変える必要があります。

このような理由から、大学において本格的な利用が始まるにはまだ時間がかかりそうです。今後実験的に導入した大学の利用動向を注目し、ブログでお知らせしていきたいと思います。

[山内祐平]

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