2010.03.28
3月27日(土曜日)に2009年度第4回BEAT Seminar「学習環境のソーシャルイノベーション:未来を拓く自律的人材の育成」が開催されました。満席の会場とTwitterが連動して大変盛り上がった会になりました。
まず、併任准教授の山田さん、特任助教の御園さん、北村さんから、2年間かけておこなった研究 Conomi+の成果報告がありました。Conomi+は自分が好きな英文ニュースを読む中で英語のリーディングが自然にできるようになることを意図した推薦システムで、2年目の研究では、自分が好きなものだけではなく、好みと連続しながら意外性のある推薦をすることによって、学ぶ単語の幅が広がることが実証的に確認されました。
次に、私から、2010年度から3年間「学習環境のソーシャルイノベーション」をテーマにすることと、その具体的なモデルとして高校生ー大学生ー起業家をつなぐ学習ネットワークの構築について説明しました。
その後、慶應義塾大学SFC研究所上席所員の松村太郎さんから、「ソーシャルメディアの発展と社会の変化」というタイトルでお話しをいただきました。エピソード満載のわかりやすいプレゼンで、iPhoneとTwitterによる「iT革命」が"Mobile Social"な社会変革をもたらしつつある現状について報告していただきました。
株式会社RCF 代表取締役社長の藤沢 烈さんからは、「自律的人材像と今後求められる教育」と題して、変わりつつある雇用状況の中で、企業ではなく個人として自律できる人材が重要になっていること、その条件として、社会性(自分以外の存在への意識)、リアルタイム性(所属、実績ではなく今何ができるか)、オープン性(発信しなければ存在していないのと同じ)が必要であることが語られました。
(松村さんと藤沢さんの講演は、Ustreamの録画でご覧になれます。)
休憩をはさんで、BEAT Seminar恒例の参加者によるグループディスカッションが行われ、4人ぐらいのグループで、この後のパネルディスカッションにつながる質問や意見をまとめてもらいました。
最後のパネルディスカッションでは、松村・藤沢・山内各パネラーに対して、今後学習環境のソーシャルイノベーションに必要な本質的な事柄について質疑応答とディスカッションが行われました。同時にTwitterでも議論が進んでいますので、詳しい内容は、Togetterによるまとめをご覧ください。
様々な議論が行われましたが、私が最も気になったのは、ソーシャルメディアを使う人が限られていて、それによる格差が生まれるのではないかという指摘です。これは全くそのとおりで、ソーシャルメディアを使って自分の学びのネットワークを作り上げ、新しい可能性を切り開いていく人と、そうでない人の格差は、今後ますます広がっていくと思います。逆にいえば、だからこそ、できるだけ多くの人を巻き込めるリアル/ソーシャルメディア連携型の学習環境を研究する価値があると思います。
セミナー終了後は、UTCafeで懇親会が開かれました。懇親会に来られていた多くの方が、Twitterでこのイベントを知って来られており、いつもにもまして多様な人たちの集まりになりました。
セミナーも一種の学びの場ですので、セミナーとTwitterの連動が進んでいる現状そのものが、学習環境のソーシャルイノベーションのさきがけと考えることができます。そういう意味でもわくわくしたイベントになりました。
ゲストとして来ていただいた松村さん、藤沢さん、会場やTwitterでディスカッションに参加していただいたみなさんに厚く御礼申し上げます。
[山内 祐平]